研究紀要第55号 「学校経営改善に関する研究 第3年次」 -017/089page
る過程,改善方策を立案する過程などに沿って一貫性のある組織の確立を図ることが大切である。
2.教育課程改善の方策に関する実践性
教育課程の改善に関する諸事項は,複雑にからみ合っており,直ちに実施できるものと,一定の経過をふまえないと実施できないものとがある。
例えば,学校単独で直ちに改善できないものについては,学校以外の協力を得るようにする。更に,教師一人一人が直ちに実施できるもの,学校及び全教師が組織的に行わなければならないものもある。
したがって,その区分を明確にした改善事項の策定でなければ,それは実践に結びつきにくく,単なる改善事項の抽出に終わりがちである。このことが明確にされてはじめて改善の諸計画立案の具体的方法も提起されてくる。また,改善の方策は,可能な限り具体的で実践のイメージが容易に描ける行動的なものであることが望ましい。評価によって取り上げられた教育課程の問題は「だれが,どのような方法で,どの期間に」取り組むことによって具体的に改善に結びつくのか明らかにした方策でなければならない。
(4) 教育課程の評価・改善の方法
教育課程の評価を改善に結びつける上で極めて大切なことは,その方策にできるだけ具体性をもたせることである。そのため,各学校の実情に応じた機能的な組織の確立や,きめ細かな策定計画の樹立が望まれる。ここでは,評価・改善の方法について述べることにする。1.教育課程評価の実施方法
教育課程評価を実施するに当たって留意しなければならないことは,教師の意識のあり方を評価実施の過程で.いかに培い高めていくかにある。そのためには,評価票の作成も含めて,評価を実施していく過程そのものに着目し,全教師の意識の高揚を目指しながら,実施の手順・組織・時期などの実施方法を十分配慮する必要がある。ア 教育課程評価の手順
評価活動の手順は,評価の計画・準備→評価の実施・処理→評価結果の考察・活用の順序で進められるのが一般的である。この手順に従って実施されるきめ細かな一連の評価活動であってこそ,はじめて評価のねらいが達成され,評価機能も生かされることになる。また,このような評価活動を体験することによって,教師の意識の高まりも期待される。
教育課程評価におけるこのような手順をP-D-Sの経営過程の考え方に立ち,計画(P),実施(D),評価(S)の三段階に大別して,その主な活動を整理してみると,次の表1のようにまとめることができよう。