研究紀要第55号 「学校経営改善に関する研究 第3年次」 -018/089page
イ 実施の時期
各学校において,教育課程評価の実施時期を設定するに当たっては,まずはじめに,次のような点について配慮する必要がある。○年度当初に,全教師の教育課程評価について,あらかじめ共通理解を図っておくこと。
○評価計画に年度末,学期末の評価を位置づけておくこと。
○評価計画と学校経営計画との関連を図り,年間をとおして意図的・計画的に進めること。教育課程評価のねらいを達成し,動態的な教育課程の経営を進めるには,年度末一回の評価に終わらず評価計画に従った意図的・組織的な評価活動による年度途中の評価も重視されなければならない。
本研究の視点にも述べているように,教育課程の評価は,形成的評価の考え方に基づき,結果としての評価だけにとどまらず,日常の教育活動や日々の授業に生かし,教育課程の改善・充実に有効に働かなければならない。
したがって,年度途中の評価やたしかめを重視し,評価機能を十分発揮するようにしなければならない。このような評価計画による具体的な評価活動は,全教師の意識を高め,教育課程経営の主体的参加につながるものである。
本研究においても,この点に留意し,年度末の評価のみならず,学期末の評価をも実施できるよう配慮し,2種類の評価票試案の開発を進めてきた。なお,評価票試案については後に掲載しているので参照されたい。ウ 教育課程評価の組織
全教師の意見を教育課程の経営に反映させるためには,その意見や意思の集約と共通理解を図る組織・運営が大切である。教育課程評価の場合を考えてみても,評価を効果的に行うためには,評価組織の確立と,その組織をいかに効率的に運営するかが問われるようになる。実際に,評価活動を行う都度,職員協議会などもてれば共通理解を図る上で理想的であるが,教育現場の実情から考えると難しいであろう。そこで,評価委員会や評価部(係)のような専門的な組織を確立し,それを中核にすえ,個人↔委員会↔全体会の方法で意見を集約し。共通理解を図っていく手順が一般的である。
いずれにしても,教育課程評価を効果的にかつ効率的に行うのには,それを進めるのに最も適した組織をつくり,計画的・組織的な評価活動が実施できるような配慮が必要である。このような運営が行われてこそ,教師一人一人の意思が教育課程の評価に十分生かされることになる。