研究紀要第55号 「学校経営改善に関する研究 第3年次」 -022/089page

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条件系列に属する人物・物的な面については,目標系列との相互関連の中で機能的に関連づけて評価していくことになる。まとめてみると,本研究における教育課程評価の対象・範囲は,目標系列に属する教育活動を重視し,条件系列に属する経営活動は,目標系列の関連において評価することとする。


(2) 教育課程評価票(試案)の対象設定
 本研究では,教育課程評価の対象・範囲を目標系列に属する教育活動とし,条件系列に属する経営活動は,目標系列の評価対象などに関連づけることにした。この考え方を基盤としながら,更に,次の考え方により,教育課程評価票(試案)に見られるような具体的な評価対象・項目を設定した。

1.学校経営評価の発展
 教育課程の評価は,学校経営評価の中核として位置づけることが妥当であると考えられる。したがって,教育課程評価対象の設定に当たっては,学校経営評価の中の教育課程を中心とした内容に焦点を当てて設定することにした。設定に当たっては,当教育センター紀要第43号「学校経営評価に関する研究」を活用し,文部省「学校評価の基準と手引」(1951年)及び東京都教育委員会「学校評価基準」も参考にした。なお,この関連表については, 別表2 として後に掲載したので参照されたい。

2.教育課程の総合的評価 −経営の全体把握−
 教育課程評価票(試案)では,教育課程全般について評価し,教育課程経営全体の姿を総合的にとらえるように評価対象・範囲を設定した。それは,教育課程経営の全体のプロフィールをできる限り的確に把握し,その上で,きめ細かな診断・評価を行い,改善方策の策定や次の計画改善の手だてを,'それぞれの学校の実態に応じて講じることに役立てることを目指した教育課程評価票(試案)であるからである。

3.評価対象の構成
 教育課程の評価対象の設定に当たっては,教育現場における教育活動の実際に着目し,次に述べる4点を考慮して設定した。

ア 教育目標から授業に至るまでの教育課程の領域
 教育課程は,教育目標の達成を目指して編成・実施されるものであり,教育目標及び目標系列の教育活動そのものである教育課程の内容を第一の評価対象とし,特に詳細に診断し,その評価の目的が達せられるように評価対象・評価要素の構成を図った。

イ 学校全体を通して行う教育活動
 学校の教育活動全体を通して行う諸活動も教育課程に含まれる内容である。そこで,これらの諸活動を第二の評価対象とし,第一の評価対象と大別して構成した。なお,生徒指導についても,学校教育全体で指導する機能概念なので,この評価対象に含めることにした。

ウ 目標系列の教育活動を支える関連活動
 「学年・学級経営」・「研究・研修」及び「教育課程の評価」については、条件系列というより,むしろ教育活動そのもの、または教育目標,教育課程.授業などの教育活動との結びつきが強いため特別に取り出し,第三の評価対象とした。他の条件系列に属する経営活動は,これまで述べてきたように,第一,第二,第三の評価対象の中に関連ある内容を含めることにした。

工 文部省指導書r教育課程評価の観点」との関連
 文部省小学校指導書「教育課程一般編」では各学校が教育課程評価を行うに当たっての参考として,一般的な評柵の対象・観点や個々の評価項目を取り上げているが,本研究における教育課程評価の対象設定においても十分に検討し関連を図るべく考慮した。


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