研究紀要第55号 「学校経営改善に関する研究 第3年次」 -023/089page
(3) 教育課程評価票(試案)の要素
評価要素の設定に当たっては,教育課程の計画・実施・評価の全過程を予想し,教育課程経営全体の筋道と対象ごとの展開過程を分析することにより重要項目を設定し,時間の流れと関連機能の観点から図式化した。次に図式化された計画・実施・評価のそれぞれの該当項目ごとに統合・調査し,最もかかわり深く,かつ中心的であると認められる項目を,教育課程経営の評価対象構成要素として取り上げ,評価票(試案)における評価要素を決定する際のよりどころとした。
なお,評価要素の設定作業のために教育課程全体を図式化した「教育課程経営の経営分析」とそれに基づく「評価対象・構成要素」は「教育課程経営評価対象構成表」としてまとめ, 別表2 として後に掲載したので参照されたい。
このようにして抽出された評価要素は,各対象ごとに計画(P),実施(D),評価(S)のそれぞれ二項目ずつに整理し,各対象ごと六つの評価要素でおさえた。
このことについて「教育目標」を例に補足してみる。上の過程分析から,計画(P)の評価要素として,「教育目標の認識」と「設定手順・方法」を取り上げ,ここでは意図的に意識・認識・共通理解の立場から要素を導き出すことにした。実際の評価に当たっては,ここから次のような表現が考えられる。「学校の教育目標が教師一人一人に認識され,設定(見直し)のための意識が高まっている。」,「学校の教育目標の設定(見直し)のための手順・方法について共通理解が図られている。」このようにして,実施(D)では「目標設定への参加」と「教育目標の重点化・具体化」をあげ,組織的活動,機能的活動,実践意欲などの立場から考え,評価(S)についても,計画,実施と同様な方法により,評価要素を設定した。
(4) 教育課程評価票(試案)開発の視点
教育課程評価票(試案)の作成に当たっては,特に経営的発想に基づいて,教育課程を見直そうとする教育課程経営の考え方を重視し,次の五つを作成の視点とした。1.経営過程を重視した動態的評価
評価対象を部分的に個々にとらえて評価するだけでなく,経営過程の中に位置づけて実態をとらえ,次年度の経営改善に生かすようにする。
P-D-Sの経営管理がP-D-S-Pへと循環的につながりをもつことにより,経営評価の機