研究紀要第55号 「学校経営改善に関する研究 第3年次」 -046/089page

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(1)理論編より
○ 学校教育は,一人一人の児童生徒に対して教育目標の実現を目指して行われるものであり,教育課程の経営こそ,学校経営の中核に位置づけられなければならない。このことを,学校という組織体として,また,教師一人一人が,実際的にどう受けとめるかが問題なのである。

○ 「教育課程の経営」,「教育課程の管理」この経営と管理の概念のちがいはあろうが,共通していることは,教育課程の展開とその効果に焦点を当てて考えるならば,いわゆる計画−実施−評価のマネージメント・サイクルに断絶なく乗せるということである。このマネージメント・サイクルの考え方が日々の授業に,各々の教科の指導計画に,そして教育課程全体に具現された時.教育課程の改善充実は,真に図られるのである。

○ 教育課程経営の現状が,動態的にみる視点が欠けており,更には経営という実態のプロセスが埋没しているととらえ,そのために教職員一人一人の主体的な経営参画,組織の機能発揮.合理的,効率的な計両活動の3点を,現状見直しの観点としてあげたことは妥当であることが参考文献から明らかにされた。

○本研究では教育課程経営をマネージメント・サイクルに乗せることができるかどうかの鍵は,教育課程の評価にあるととらえたが,これは,教育課程基準の改善に関する答申で最もその具現を期待しているという考え方と合致するものと言えるであろう。

○ 教育課程評価の対象・範囲を決めるに当たって,「教育評価と教育課程評価の関連」と「アカウンタビリテイの思想」を問題にしたことは,本研究の特色の一つともいえよう。教育評価における児童生徒の評価優先の考え方や,アカウンタビリテイにおける教育計画と教育成果の関連性重視の考え方は,教育課程経営評価の対象・範囲から除外したとしても,その考え方は根底になければならない。

○ 教育課程評価の結果を次年度の改善への生かし方について理論的に追求したことは,教育課程の改善充実の推進が強く要請されている今日的課題にこたえたものであると思う。


(2)教育課程評価票(試案)より
○ 評価の対象・範囲の構成を,理論研究に基づき,当教育センターの学校経営評価票(試案)を基盤として行ったが,文部省指導書「教育課程評価の観点」に照応して吟味しても,妥当であると思われるし,教育現場の教育課程評価の実際に一般化され易いものであると思う。

○ 評価要素の設定に当たっては,教育課程経営を動態的にとらえようとする本研究の意図から,各評価対象ごとに計画(P)実施(D),評価(S)のそれぞれ二項目ずつに整理し,6つの評価要素におさえた。別表にみられるように各評価対象ごとに経営の過程分析を行ったが,教育現場の実際になじまない不自然な点がないでもない。この点については,各学校の幅広い活用に期待するものである。

○ 評価の観点の表現は,それぞれの要素ごとに吟味したつもりであるが,研究とのかかわりから意図的に共摘して用いた用語などもあり,一般的にならざるを得なかった点が多い。したがって要素の表現は,各学校が活用に当たって,創意工夫を図ることが望まれるし,そのように利用してもらうことにより当教育センター評価票(試案)も生きるのである。


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