研究紀要第58号 「教育課程の実施に関する研究」 -006/076page
ということから,指導計画が軽視されがちであるが,弾カ的で幅広いものではあっても,指導計画に基づく指導の過程が重んじられなければならない。なぜなら,活動の過程において「いつ」,「どこで」,「どんな」助言指導をするかということが大切であり,その適否によって指導の効果も左右されるからである。実践の場面を再設定することが難しいだけに,その機会をのがさず指導助言することが必要である。
学級会における指導の方法の評価も各内容に共通して考えられるものと,各内容ごとの評価が考えられる。その―例を以下に示してみる。
1)各内容に共通する評価の観点
- 学級会活動の特質をふまえ,自発的,自治的な活動を通した実践活動の指導がなされたか。
- 児童の発想が生かされ,意欲的に活動が進められるよう配慮されているか。
- 集団に対する指導とともに,個性の伸長や個人差に応じた指導が配慮されているか。
- 指導計画の弾カ的運用が図られているか。
- 指導法の創意工夫がなされ,適切にしてしかも当を得た指導であるか。
- 指導助言のしかたが,活動全体の中で機を得,児童の意欲的活動を促しているか。
- 個人と集団の活動がうまく調和して展開されるよう図られているか。
- 単なる結果にこだわらず,活動の経過を重視した指導がなされているか。
2)各内容別の評価の観点
ア.話し合いの活動
- 学年段階に応じた議題を適切に取り上げるよう配慮しているか。
- 話し合いは児童の自治的活動として進められるよう指導しているか。
- 共通の課題を共同で解決していく方向に進められるよう指導助言しているか。
- 具体的,実践的な解決の方向を目指すよう配慮しているか。
- 少数意見も尊重し,協カ的に話し合うよう指導助言しているか。
イ.係の活動
- 各係は児童の必要感から設定され,活動が負担荷重にならないよう配慮してい るか。
- 係活動を円滑にするための条件が整えられているか。(コーナー,予算,備品など)
- 各係の運営が協カ的に進められるよう配慮しているか。
- 活動計画をもとに,計画的にそして創意工夫を生かした実践活動ができるよう配慮しているか。
- 係ごとの仕事の計画や進行状況が学級全員に分かるように,運営を工夫させているか。
ウ.学級集会の活動
- 集会の目的が明確で,全員の協力で計画し,実施するよう指導助言しているか。
- 一人一人の個性や能力を生かすよう配慮しているか。
- 児童の創意工夫を生かすよう配慮しているか。
- 学級生活を向上させるよう配慮しているか。
- 集会を楽しくするための条件が整えられているか。(時間,場所,役割分担など)
(3) 集団の活動・集団の発達の評価
特別活動の目標の冒頭に,「望ましい集団 活動を通して………」とあるように,特別活 動においては,望ましい集団の形成への指導 がきわめて重要である。学級会活動は,学級 における諸問題を話し合い,その解決を図る 活動や学級内の仕事の分担を処理する活動を