研究紀要第58号 「教育課程の実施に関する研究」 -008/076page
発達に即し,あるいは集団の発達に即して指導していくことが,学級会活動ひいては特別活動における指導の効果を高める上で重要となる。このことから,評価の対象として個々 の児童の発達や集団の発達をあげることができる。
(3)児童が行う自己評価,相互評価
このことについて,「特別活動の評価」(文部省)では,「特別活動が目指す児童の自主性や社会性の確立は,たんなる知識や理解だけでなく,日常生活のなかで態度や行動として現れなければならない。その意味から,児童の自己評価や相互評価を行わせることによって,児童自身の自覚や反省を促すことが必要である。」と,児童の評価活動の重要性を説いている。
児童の自己評価と相互評価が,児童の学習活動の過程に組み込まれているということは,教師の行う評価をより的確にし,効果的な指導をするための重要な資料収集の方法でもある,つまり,集団活動を通して児童が望ましい資質を身につけるためには,児童が学習活動の中で自己評価,相互評価をすることが必要であり,そのことは,教師のよりよい指導評価を可能にするからである。
5.評価の方法
特別活動の指導の効果は,知識や理解よりも行動や態度の変容としてとらえることが多い。また,行動や態度の変容は,その過程をみることが重要であるから,児童一人一人のありのままの実態を把握することが大切となる。
したがって,特別活動の評価の方法として観察法が多く用いられ,その短所を補うために他のさまざまな方法が併用される。
ここでは,教師と児童に分け,そのいくつかの方法をあげてみる。
(1)教師の視察による評価
1) 観察法
2) 観察結果を記録する方法
ア 逸話記録法
イ チェックリスト法
ウ評定尺度法(2)児童の自己評価
1)面接質問法
2)質問紙法
ア 自由記述法・(作文,日記,グループ,ートなども含む)
イ 諾否を求める方法
ウ 選択肢法
エ 評定尺度法(3)児童の相互評価
1)ゲスフーテスト
2)ソシオメトリックテスト
3)討議法
6.学級会活動の評価の具体例
(1)指導計画の評価
次ページのグラフは,昭和59年度の福島県教育センターにおける小学校特別活動講座を受講した先生に自校の学級会活動の指導計画を持参していただき,それについて自己評価したものをまとめたものである。なお,評価は前記の指導計画の評価の観点に基づいてなされたものである。
また,評定はA,B,C,D の4段階とし,A・Bは比較的よくなされている,C・Dはその反対として,その結果を集計した。
そして,調査結果をもとに,評価の観点ごとに考察を加えた。