研究紀要第58号 「教育課程の実施に関する研究」 -010/076page

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れているか。

 1(丸囲み) の考察とも関連するが,35%という低い数字は,学級会本来の目的から外れ,教師の押しつけや指示などによる活動が行われている傾向を示しているといえる。

5(丸囲み) 指導計画と実施計画が明らかにされているか。

 若い先生の中には,実施計画あるいは活動計画のとらえ方が不十分な先生もおり,指導計画はあっても,実際に計画委員会などで実施計画が立案されていないとみることができ,23%という数字にも,それが表れているといえる。

 これが,話し合い活動の停滞ともつながり,意欲的な参加態度あるいは自分たちで問題を 解決していこうという姿勢の欠如ともかかわってくるものと思われる。

6(丸囲み) 施設,設備,予算が活動しやすい条件として用意されているか。

 学級会活動を支える基本的条件として,施設,設備,予算などが考えられるが,話し合い,係,集会などの行動を行うにしても,活動する場,時間,そして活動するために使用する各種の物がなくては,児童の意欲をそぐことにもなる。調査結果をみると,たいていの先生は予算に目を向けたと思われるが,予算はあっても,学級の消耗品や備品の購入のため,学級会の方にまでまわす余裕がないなどの声が多く,半数近くが十分に用意されているとはいえないと答えている。

7(丸囲み) 他の活動との関連が明らかにされているか。

 これだけの調査数で即断することはできないとしても,約40%しか他の活動との関連が図られていないと指摘している。全体計画の中で児童活動,学校行事,学級指導の各内容や教科,道徳との関連を考えることはもちろんだが,学級会活動においても,それらに基づいて,話し合い,係,学級集会のそれぞれの活動相互の関連を図ることが大切である。例えば,新しい係を設置するための話し合い活動,楽しい学級集会の計画の話し合い活動,学級集会での係の活動など多くの例がある。そして,各活動は狭い意味では,単独で成立しないものともいえる。(各係ごとに活動計画を話し合う。読書感想文を発表する会の企画立案をする。など)

 各活動が有機的な関連のもとに,児童の自主性,自発性を生かして実施されれば,更に次の活動への意欲付けがなされるであろう。

8(丸囲み) 記録や整理の生かし方はどうか。

 解答した先生方の学校のほとんどは,学級会記録簿などを用意し,話し合われた内容,決定事項,活動の状況などを記録していると 答えているが,記録がその場限りのものになってしまいがちで,31%という低い結果が出たものと思われる。

 なお,話し合い活動の際は,ノートなどに記録させないで話し合いに集中させるという考えもあるが,考えをまとめておく,質問したいことをメモしておくなどの簡単なメモの活用は,特に話し合いの訓練には効果的と思われる。いずれにしても,記録はその時だけのものとせず,実践化を目指す活動であるので実践にどう生かすかを考え,活用していきたいものである。

9(丸囲み) 評価の計画は立てられているか。

 わずか10%しか評価の計画が立てられていない。このことは,評価が難しく,また,評価があまり重要視されていないからと思われる。

 児童の活動については,それぞれいろいろな方法で評価をしていると思われるが,それが特別活動の指導計画の中に組み込まれ,評価を計画的,組織的に実施している学校が少ないことがこの結果からもうかがえる。

(2) 学級会活動の授業における指導と評価

 ここで取り上げた例は,いわき市内のT小学校5年1組の授業の記録である。この例を もとに,実際に行われた話し合いの順序に沿って,評価の観点及び方法を書き加え,話し 合い活動の評価の一助となるようにまとめた


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