研究紀要第58号 「教育課程の実施に関する研究」 -033/076page
家庭科用実習プログラムの開発
― 栄養所要量・栄養指数の計算,献立表の栄養計算 ―
科学技術教育部 吉田 陽一
1.はじめに
現在情報処理に関する教育の振興がつよく叫ばれている中で,昭和58年9月に県教委より県産業教育審議会へ「産業の進展に対応する情報処理教育の在り方」が諮問され,昭和59年9月に答申がなされた。その中には,従来は高校工業科・商業科の2学科に限られていた情報処理教育が,農業・家庭・水産・理数科および普通科等に拡大される必要性が強調されている。現在まで工業・商業科関係の生徒実習,教員研修が大半であった当教育センターにおいても,今後は前述の学科の教員研修,さらには生徒実習が広く行われることが予測され,それらに対応できる体制を整えることが必要となってきた。
そこで,その第―歩として,FORTRAN言語による高校家庭科「食物」領域における栄養所要量の計算,栄養指数の計算,献立表の栄養計算についての教材用プログラムの開発を試み,県内のある高校の協力を得て活用した結果,学習効果があがったという評価を得た。なお,このプログラムは,商業科,普通科などのデータ処理用としても利用できるものである。
栄養所要量と栄養指数の計算
(1) 栄養所要量の計算
「日本人の栄養所要量」は身体が必要とするエネルギーや,各種栄養素の主なものについて「摂ることが望ましい量」として定められている。栄養所要量を満たすような食品構成を考えることによって,正しい食物のとり方の基準が明らかとなる重要な数値である。
日本人の栄養所要量は,昭和22年にはじめて定められて以来,数回の改定をかさね現在に至っており,昭和59年8月31日には,昭和60年か
表1 日常生活からみた生活活動強度の区分(Bmとは1分間の基礎代謝量である)
生活活動強度 生活動作 時間 平均RMR 日常生活の内容 職種の例 I
(軽い)睡眠 8 Bmの90% 技術的な仕事.事務的な仕事,管理的な仕事,およびこれらに類似した内容の仕事に従事する人,さらに幼児のいない専業主婦にこのタイプが多い。 椅座・座 13 0.3 一般事務,手作業,機械操作,読書,勉強,娯楽,乗り物食事 立ち 3 0.7 軽い手作業や機械操作,立ち話,身仕度,家事 歩き 0.5
未満通勤,買物 II
(中程度)睡眠 8 Bmの90% 製造業.加工業,販売業,サービス業およびこれらに類似した仕事に徒事する人,さらに乳,幼児の世話に手間のかかる主婦,または自営業の婦人にこのタイプが多い。 椅座・座 10 0.3 一般事務等( I )と同じ 立ち 5 1.1 ―般手作集や機械操作,家事.乗り物,接客 歩き 1 1.4 通勤,買物,歩き仕事 III
(やや重い)睡眠 8 Bmの90% 農耕作業,漁業作業,建設作業およびこれらの作業に類似した仕事に従事する者にこのタイプが多い。 椅座・座 6 0.3 ( I )と同じ 立ち 6 1.1 職場では立ったり,歩いたりする作業が多い。 歩き 4 1.8 IV
(重い)睡眠 8 Bmの90% 伐木,運村材作業,農繁期の農耕作業,プロスポーツ選手およびこれらに類似した仕事に従事する者にこのタイプが多い。 椅座・座 5 0.3 ( I )と同じ 立ち 7 1.1 職場ではショべリングやハンマー作業,重量物運搬など,全身の筋肉を使う仕事が主である。 歩き 4 3.1