研究紀要第58号 「教育課程の実施に関する研究」 -048/076page
作文指導は,作品完成後の指導も大切だが,完成するまでの作成過程における指導をより重視すべきだとはよくいわれるところである。しかし,「観点をしぼって指導している」が46%であって,各指導過程において観点をおさえて指導をしているものが意外に少ないことがわかる。
〔設問2〕あなたは,作文を指導するとき,生徒のつまずきや悩みなどをとらえるための手だてをしていますか。 作文指導で,生徒のつまずぎや悩みをとらえる手だてをしていないが37%と多く,これは,生徒の表現カの個人差の問題とか,教師側の指導時間の問題とかの原因は考えられるが,指導過程の中で個々の生徒の持つ悩みやつまずきをとらえるための手だてを怠っていることがわかる。
〔設問3〕あなたは,作文を評価するとき,困難点や問題点がありますか。ある場合は,その理由もお書きください。 評価について困難点があると回答しているのが83%と多く,その主な理由としては,評価基準の問題,評価の事後指導への生かし方,評価処理の時間的余裕のなさをあげている。その他,生徒の表現カの個人差が大きいため,到達目標をどのように位置づけ,評価すべきか苦慮しているなどもあげられていた。
〔設問4〕作文指導上,教師側の困難点や悩みはどんなものか,ありましたらお書きください。 ○調査結果のまとめ
1) 問題点と原因
ア 作文の基礎能カが低い。
- 一文のわかりやすい表現ができない生徒が多い。
- 語いが少なく,話し言葉の多用がみられる。
- 話し言葉と書き言葉の区別ができない。
- 書く題材を見つけることができない。
イ つまずきが多様化している。
- 生徒のつまずきが多様化していて,一斉指導をしても効果があがらない。
- 表記に問題のある生徒の指導がなかなかできない。
- 生徒のつまずきが多くありすぎて,予定の指導時間内で終わることができず,途中であきらめざるを得ない。
ウ 個別化がはかれない。
- 作文指導では,個別指導が最も必要なのに,時間内で終わることができず,途中であきらめざるを得ない。
エ 評価の観点基準があいまいである。
- 作文の評価は,主観にたよることが多く,明確なよりどころがほしい。
- 生徒の作文能力に個人差があり,一定の基準で評価できない。
- 指導内容,目標には忠実に書いていて