研究紀要第58号 「教育課程の実施に関する研究」 -051/076page

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まとめの方法としては,意欲・取材・構想・叙述・推敲の5段階をとっている。意識)の欄は,書くことについての興味や意欲を出発点に,書く目的意識や必要感を高め,さらに書くことの見方,考え方の広がりや深まりとのかかわりにいたっている。この作文に対する意欲の問題は,表現過程の第一段階であると同時に,作文能カの全体をおおっているといえる。取材以下推敲まは,表現過程に位置づくように工夫されてあるが,画然としたものではないようである。しかし,それぞれの項目を関連的にとらえ,全休を見通すことに,この一覧表の意味があるように思われる。

<表1> 作文の基本的能カ一覧表

過程\
学年
意欲(意識) 取材(主題) 構想 記述              推敲
小1 ・書くことに興味をもつ。 ・書く事がらを見つける。 ・経験したことの順序をたどって書く。 ・聞いたり読んだりしたとおりに文を正しく書く。
・事がらを考えながら,文や文章を書く。
・文章を書くために必要な文字や語句を身につける。
・書いた文章を読 み返す。
小2 ・進んで文章を書こうとする。 ・何が書きたいかを 考え,それに関する材料を見つける。 ・できごとの順序をたどって書く。 ・聞いたり読んだりしたとおりに文章を正しく書く。
・内容がよくわかるように文章を書く。
・かんたんな説明を入れる。
・文章を書くために必要な文字や語句を増す。
・書いた文章を読み返し,まちがいに気づく。
小3 ・文章で表現することに意欲をもつ。 ・大事なことを落とさないように,書く必要のあることを整理する。
書こうとするものをよく見て取材する。
・書く事がらをまとめ,どこにくぎりをつけたらよいか考える。 ・語と語,文と文の続き方を考えて書く。
・ようすや気持ちがよくわかるように書く。
・かなり長く書く。
・語句を正しく文章の中で使う。
・書いた文章を読み返し,まちがいを正す。
小4 ・自分の考えをはっきりさせて文章に書き表そうとする。 ・書く必要のあることを整理する。 ・書こうとすることの中心が明確にな るように,段階の分け方,続け方を考える。 ・事象を客観的に書き表す。
・感想や考えをはっきり書き表す。
・数量的なものも正確に書く。
・語句を適切に文章の中で使う。
・書いた文章を読み返し,まちがいを正したり,よい文章に書き改めたりする。
小5 ・文章を書く目的 や必要感をはっきりもつ。 ・主題や要旨を明確にする。
・必要な事がらを観点ごとに整理する。
・段階をはっきりさせ,段落と段落との関係がわかるように,組み立てをくふうする。

 

 

・読み手にふさわしい文体で書く。
・矛盾,あいまいさのない表現をする。
・適切なことばづかいで書く。
・語句の使い方に注意して書く。
・書いた文章を読み返し,叙述のしかたについてくふうする。
小6 ・書くことによっ て考えを深めようとする。 ・目的にかなう材料を集め,必要なことを落とさないようにまとめる。 ・目的に応じた文章の組み立てをくふうする。 ・必要に応じて詳しく書いたり簡単に書いたりする。
・簡単ですじのとおった表現をする。
・感覚的で効果的な表現をする。
・語句の使い方をくふうする。
・書いた文章を読み返し効果的な叙述のしかたについてくふうする。
中1 ・自分の考えを確かにし,進んで文章を書こうとする。 ・主題や要旨をはっきりさせ,それに合った材料を集める。
・要点を明らかにし必要な事がらを落とさないように整理する。
・全体の組み立てを考え,段落に分ける。 ・場面や経過がよくわかるように具体的に書く。
文脈に即して,語句を適切に使い分ける。
書いた文章を読み返し,表現を確かめて,文章をよりよくする。
中2 ・ものの見方や考え方を広くし,自分の考えを大事にして文章を書こうとする。 ・主題や要旨に照らして必要な材料を関連的にとらえる。 ・段落の役割を考え,全体の親み立てを整える。
・中心部分と付加的部分を区別する。
・事実と意見とを区別して正確に書く。
・文脈にふさわしい語句を選んで書く。
・書いた文章を読み返し目的に応 じた効果的な表 現をくふうする。
中3 ・ものの見方や考え方探め.自分の考えをまとめて文章を書こうとする。 ・はっきりした根拠のある材料を選ぶ。 ・論旨をいくつかの論点に分け,適切な組み立てをくふうする。
目的や必要に応じた,ふさわしい形態を考える。
・事実や意見を正確に書く。
・表現の効果を考え,語句の使い方をくふうして書く。
・よい文章の条件を考えて,文章をよりよくする

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