研究紀要第58号 「教育課程の実施に関する研究」 -057/076page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

推敲 ・誤字,脱字,文体などの乱れが多い。 ・せっかく書き上げた作文なのに,先生から作文が返ってくると,赤ペンでたくさん訂正されてくるので,作文を書く自信がない。 ◎自己評価
◎相互評価
○作品の検査
(1)自作音読による読み返しの習慣を身につけさせる。
(2)となり同士,相互批正させる。
(3)共同推敲により,推敲の仕方を理解させる。
(4)使い方に自信のない言葉は辞書で調べさせる。
(5)書いたものを音声化し,文の乱れ,語い,句読点の誤りなどに気づかせる。

4.診斯と治療を取り入れた作文指導の実際

(1) 「短作文」による診断と治療

短作文による治療とは,200字程度の短い作文を児童生徒に書かせることにより,一人一人の児童生徒の作文カの診断・治療に役立てようとするものである。

 これは,次の諸点について有効である。

○ 取材・構想・記述・推敲などの各指導過程に位置づけ,それぞれの指導の観点に応じた 診断・治療ができる。

○ 比較的分量が少ないので,児童生徒も取り組みやすい。

○ 比較的分量が少ないため,数多くの児童生徒と書かれたものをめぐって面接指導が可能 となり,個別化が比較的容易である。

○ 指導者側は,すみやかに診断・治療ができ,指導の手を加えられる。

1) 目的

 ア 書く機会を多く与え,書くことへの抵抗感をなくし,書くことの日常化・習慣化をはかる。

 イ その時間の学習のねらいを焦点化し,児童生徒に学習課題意識を徹底させる。

 ウ 書く機会を多く与え,反復練習を多くすることによって,作文の方法・技能を習得させる。

 エ 一単位時間内に,取材・構想・記述・推敲・評価を行い,それらを有機的に結びつけて指導の一貫性をはかる。

 オ 机間巡視などをし,それぞれの指導過程の中で個に応じた指導を行い,個別化をはかる。

 カ 評価の観点を明確にし,かつ焦点化して評価を行い,達成が十分でない児童生徒には再指導をする。

 キ 診断・治療をすみやかにし,児童生徒の興味・関心のうすれないうちに指導の手を加える。

2) 分量,形式,内容

ア 分量

 200字以内とし,多くとも400字程度 とする。

イ 形式

 課題作文を主とし,自由作文も目的に 応じて適宜取り入れる。 (課題作文を主に取り入れるわけは,題材決定や取材に時間がはぶけるし,共通意識をもって話し合いができ,相互批正するのにも都合がよいからである。)

ウ 内容

 生活文,記録文,説明文など,年間指 導時間に位置づける。

3) 指導上の留意点

ア 取材

(ア)いわゆる行事作文だけでなく,身のまわりの事象にも取材させるようにする。

(イ)学校内のできごとや新聞・テレビなどの二ユースも取材させ,児童生徒の 興味を換起させる。

(ウ)取材カードを用い, 「おもしろかったこと」,「不思議に思ったこと」,「感動したこと」などから,題材や主題をさがして選ばせる。

(エ)題さがしの言葉を与えたり,題さがしの訓練をさせる。

イ 構想

(ア)さまざまな段落構成の型を提示し,自分の主題,内容に合った構成を選ばせる。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。