研究紀要第58号 「教育課程の実施に関する研究」 -058/076page

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(イ)ときには,段落構成を指示して書かせる。

 たとえば,前半に事実を書き,後半に自分の考えを書かせるなど,あらかじめ指示しておく。

ウ 記述

(ア)文章スケッチにより,観察カ,想像力を身につけさせる。

(イ)様子や気持ちを表現する場合,いくつもの表現の仕方があることを工夫させる。
 たとえば,「泣く」という行為は,最も単純で広く用いられるが,同じ泣く」行為を「涙を流す」「目に涙をうかべる」「肩をふるわせる」「声をつまらせる」など,目,声,顔,体の表現に着目すれば,いくつもあることに気づかせる。

エ 推敲

(ア)書き終わった文章は,必ず読み返すという習慣を身につけさせる。

(イ)推敲の時間を十分取るようにする。

(ウ)書きあげた作文をもとに発表会などをもって相互批正させる。

オ 評価処理

(ア)すべての児童生徒の作文から,よい点を必ず見つけてやる。

(イ)不十分な点があったら簡単に個人カードに記入し,後日の指導に役立てる。

4) 指導の実際

ア 単元名 表現2「心にに残っていること」―具体的に表現する―(光村図書中学1年)

イ 本時の目標

○ 身近にある対象を見つめ,その特徴を細かく観察し,想像を働かせ文章スケッチをする。
○ 様子や気持ちを表現するとき,観念的,抽象的な言葉を使わないでも,他の表現はないかを工夫して表現する。

ウ 指導過程

学習内容・活動 時間 指導の留意点
1.本時の学習のめあてを確認する。 5' ・文章スケッチの仕方の取材から評価までの参考資料をOHPで見させ,わからせる。
2.自分の書きたいことを決める。(取材)
3.対象をよく見つめ,読み手によくわかるように「何を」書けばよいか考える。(取材)
4.どんな順序で書くかを考える。 (構想)
10' ・書きやすい材料であるかを考えさせ,題材を決定させる。
・取材カ―ドを用いて,材料を集めたり,選び出したり,整えさせたりする。
・対象を見て,最も書きたい題材は何かをさがし出させる。
・あらかじめ,二段落構成にすることを指示し前段に見た事実を書き後段には感じたこと,考えたことなどを書かせる。
5.対象をよく観察して文章スケッチをする。 (記述)
6.見たものの様子や気持ちを想像して書くにはどうすればよいかを考えて書く。(記述)
20' ・五感を働かせ,手ざわりや形,色,におい,動きなど,細かく観察して書けたか。(診断)
・「うれしい」,「悲しい」などの観念的,抽象的な言葉は便わなくとも,様子や気持ちを
想像して表現できないかを工夫させ表現させる。 (治療)
7.書きあげた ものを発表し 話し合いをする。 (推敲)


8.本時のまとめをする。 (評価)
10' ・書き終わった作文は,必ず読み返すことを指示し,推敲の仕方を身につけさせる。
・作品を発表し合い,相互批正させる。
・取材から推敲までの書き方がわかったか,自己評価表を用いて評価させる。
・机間巡視を行い,気づいたことを批評し,よく書けたことを賞賛してやる。

エ 指導例(A子の場合の記述の例)

(ア)題材決定(A子は身のまわりのものから「筆入れ」を選び書くことにした。)

(イ)対象を見て書いた文章スケッチの例
私の筆入れは青,筆入れの中には,鉛筆や消しゴムや定規が入っている。小学校5年の私の誕生日に母が買ってくれた。手あかでよごれたシ―ルが二枚はってある。


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