3)跳び箱運動の一貫性の構造
跳び箱運動は,人エ的に作られた物的障害(跳び箱)を使って,足と腕の交互のジャンプの特性をもつ支持跳躍である点に他の跳躍運動と異なる特色がある。したがって,跳び箱運動の技能の中核は,着手の前後のわざに条件を付け,いろいろな跳び方を安定した着地でできることにある。また,個人的スポーツとして跳び箱に挑戦し,それを克服してできるようになることを楽しむ運動としてとらえる。
跳び箱運動の技能内容の系統図は図6のようになる,これをみると,跳び箱運動の跳び方には大別して次の二つの系統があることがわかる。
ア.開脚跳び,閉脚跳び,仰向け跳びなどの切り返し系の跳び方
イ.台上前転や前方倒立回転跳びなどの回転系の跳び方
これらの跳び方を,小学校3年生までは,跳び箱を使っての遊びの中から基本的な動きを身につけさせ,4年生からは,腕立て開脚跳び,腕立て閉脚跳びを中心に,自己の能力に適した課題に挑戦できるように配列されている。中学校では,技能の優劣よりも個人の能力に応じた課題を解決していく過程での喜びや楽しさを経験させるように跳び方のエ夫に重点が置かれている。高等学校では,単により高い障害を克服するだけでなく,着手後にどれだけ雄大に,安定して跳べたかという出来ばえも問題にし,跳び越し方に重点を置くとともに,新しい技を加えて跳び方にエ夫をこらして行うことができるようにしている。それぞれの跳び方を学年によってエ夫する場合には,技能の程度に応じて課題を選んで指導することが大切だとしている。
例えば,腕立て開脚跳びにしても,いまできる跳び越し方から,跳び越しの基本的な要領を変えないで,違った条件(跳び箱の高さ・方向・フォーム)を加えた自分の力にあった跳び越し方を自分の努力によって,そのめあてを達成することができるように内容が例示されている。
図6 跳び箱運動における技能内容の系統図
切り返し系 開脚跳びや閉脚跳びなど
回 転 系 逆位を経過して回転する
○ 単により高い障害を克服するだけでなく,着手後にどれだけ雄大に安
定して跳べたかという出来映えなども問題にするので跳び方に重点をおく。 |
切り返し系 斜め跳び,水平跳び,仰向け跳びなど
回 転 系 台上前転や前方倒立回転跳びなど
○ 技能の中核は,着手の前後の技に条件を付け,いろいろな跳び方がで
き,安定した姿勢で着地できること。
○ 同一の跳び方では,姿勢の変化,着手位置,身体の振り上げ角度など
に条件をつけること,また,跳び箱の置き方や高さなどの実施条件の変
化などによって,跳び方が変わってくるので,これらの条件を工夫する
ことが大切。 |
腕立て開脚跳び 腕立て閉脚跳び 台上前転
(縦 高さ70〜80cm) (縦 高さ60〜70cm) (縦 高さ50〜60cm)
○ 大きな動作の腕立て跳び越しが調子よくできる。 |
腕立て開脚跳び 腕立て閉脚跳び
(縦 高さ60〜70cm) (横 高さ50〜60cm)
○ 大きな動作で腕立て跳び越しができる。 |
腕立て開脚跳び 腕立て閉脚跳び
(縦 高さ50〜60cm) (横 高さ50〜60cm)
○ 自己の能力に適した課題をもっての腕立て跳び越しができる。 |
器具を使っての運動
○ 腕立て跳び上がり跳ぴおり
○ 腕立て開脚跳び |
固定施設や器具を使っての連動
○ 跳び箱でのまたぎ越し,踏み越し,腕立て跳び上がり跳びおり |
「固定施設や器具を使っての辺動
○ 跳び箱でのまたぎ越し,踏み越し,腕立て跳び上がり跳ぴおり |
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