研究紀要第58号 「教育課程の実施に関する研究」 -069/076page

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4.器械運動の学習指導と評価

(1)器械運動の学習指導

 学習指導を適切に進めていくためには,児童生徒が自発的に運動に取り組み,できるだけ主体的に学習することと教師の指導がほどよく調和した学習過程をエ夫することが大切である。また,効果的な学習指導の方法をどのように工夫したらよいかは,学習指導の目標との関係で考えることが重要であり,運動の楽しさをすべての児童生徒に学びとらせていくかが問題である。

学習指導の進め方については,各指導書,解説書に次のように記されている。

○ <小学校>

 児童の学習をできるだけ主体的にすることと教師の指導がほどよく結合し,導入→展開→整理の段階を工夫することが一般的である。今回の学習指導要領における体育の内容は,児童の心身の発達に応じて課題にできるような運動の編成を考えているので,児童の主体的な学習が生まれやすくなっている。

しかし,運動の楽しさを分からせることが重要だといっても,単に児童に解放感を味わわせるだけで,望ましい結果が得られるわけではない。運動の楽しさにも深浅や強弱の幅があり,それぞれの運動の特性に基づく楽しさや自ら努力して得られる喜びを味わわせるように導くことが大切である。

○ <中学校>

 学習内容をただ与えるというのではなく,生徒が自発的に運動に取り組み,主体的に学習するようにして,運動に対する興味を育てていくことが必要である。

そのためには,運動の特性を,その運動によって期待される効果や運動技能の仕組みだけをとらえるのではなく,生徒が,その運動のどこに興味をもつか,その運動の原動力になっている生徒の欲求は何かなどを考えて指導することが大切である。

○ <高等学校>

ア 運動の特性や課題に応じた指導

 それぞれの運動の特性を生かし,各運動を指導することによって期待される効果を予測して行う必要がある。その場合,運動の特性はそのまま学習活動の展開に直結するのは無理があり,一般的には,「運動の特性」―「学習指導のねらい」―「運動の課題や強調点」―「学習活動」のねらいの順で考えるのが適切であろう。特性やねらい及び課題に強調する事がらを確実におさえることが,具体的な学習に一貫性をもたせることになると考えるからである。

イ.生徒の能カ・適性等に応じた指導  \略
ウ.具体的な目標や課題をもたせる指導/

 以上のように運動の楽しさを味わわせるためには,児童生徒が主体的に学習するよう,運動に対する興昧を育てていくことが必要であるとしている。また,運動の楽しさとは,解放感を味わわせるだけではなく,運動の特性や課題を確実におさえて指導ができるよう学習過程を工夫していくことが大切であると小・中・高等学校ともに強調していることがわかる。

 また,器械運動の指導についても工夫すべき特徴的な点を次のように解説している。

○ <小学校>

 克服的スポーツの性格でとらえられている器械運動の指導では,一人一人の児童が自己の力を知り,その上で自己の力にあった課題をもつように指導するのが大切である。また,自己の課題の達成に向かって,根気強く努力し,成功又は課題を克服する喜びを味わわせ,更に次の課題達成への意欲がわくよう指導することが大切である。しかし,すべての児童がいつも成功するとは限らないので,結果をめぐっての指導では,特に失敗に終わった児童に対する取扱いを十分考えなければならない。

○ <中学校>

 器械運動は,その活動自体を目的として自発的に行う活動である。生徒はそれぞれ個性,能カが異なるので,それに応じられるように学習指導過程を工夫して指導することも考えなければならない。


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