研究紀要第59号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -002/053page
これらの問題は一括して「目標の具体化」という課題につながる。
いずれにしても,学校の教育目標は,その到達の成果を予測し,その達成の具体的な手続きを準備しなければ,観念的なものになってしまうのである。(※2)
以上の文献でも述べているように,教育目標が効果的に達成されるためには,教育諸計画に位置づけされ,日々の教育実践に生きてはたらくようになっていなければならない。
しかしながら,学校が全教育活動を通して達成すべき指標である,その学校の教育目標が,ややもすると単なるかざりもの的な存在であり,具体化されないため,日々の教育実践には生かしにくいようである。
また,教育目標そのものについての達成評価なども適切に行われないまま,教育目標が形式化したり,空文化したりしていることが多いように思われる。
このような現状を打開するには,教育目標達成についての評価に生かすことができるよう,教育目標を具体化することや諸計画への位置づけから取り組まなければならないであろう。
すなわち,児童生徒及び学校の実態,地域の特性などを確実に把握し,全教職員の主体的な参画のもとに,学校教育の全ての諸計画とその実践とに反映するようにしなければならないと考える。
特に,教育目標が,児童生徒の学習活動などの教育実践に,真に結びつくためには,教育課程に明確に位置づけされていなければならないのである。
本研究は,前述したように,教育目標と教育課程とが,有機的・構造的にどのように関連づけが図られるべきなのかについて,さらに研究を深め,昭和53年度以降の学校経営改善に関する二つの研究を深化,発展させ,教育現場において,教育目標が日々の教育実践に浸透し生かされるためにはいかにすべきかについてまとめることを究極のねらいとするものである。
したがって,これまでの二つの研究において,「学校経営評価票」ならびに,「教育課程評価票(試案)」を作成したように,本研究でも,教育目標を具現するためのモデルともいうべき,「教育目標具現のための具体化の事例」の紹介にもあたっていきたいと考えている。
なお,第―年次としての本年度の研究は,後章の調査のねらいと内容にも述べているように,県内の小学校,中学校,及び高等学校の教員を対象にして,教育目標に対する意識,教育目標が教育課程にどのように結びつけられているか,教育諸活動の実践に教育目標が生かされているか,など教育目標達成にかかわる諸問題や今後の追究すべき課題を明らかにするため,アンケート調査を実施し,その結果について考察したものである。
(注)
※l 「教育課程のPDSと学校経宮」 牧 昌見
※2 「新しい学校経営の条件」 原 実