研究紀要第59号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -004/053page

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 1) PDSの連続過程でとらえ直すこと。

教育課程を編成・計画のみの部分的・断片的なとらえ方でのみ考えず,学校経営過程の計画,実施,評価と同様に,PDSの過程としてとらえ直して考えることである。すなわち,教育課程の編成 ― 実施 ― 評価を連続する教育活動の過程として全体的,総合的にとらえ,学校教育の中核として位置づけて考え,編成 ― 実施だけでなくその効果までも含め,PDSのマネージメント・サイクルに合致させて経営することである。特に,P−D−Sの各過程と,P−D,D−S,S−P' の間を具体的にどうするかを教育課程の展開に即して考えることである。

 2) PDSの因果関係でとらえ直すこと。

 時間の流れに沿って連続して展開される教育活動としての教育課程のPDSが,常に教育目標や経営方針・教育方針,並びに教育課程編成の基本方針などにコントロ―ルされるという考え方でとらえ直すことである。すなわち,結果志向の考え方を重視することであり,教育課程のPDSを因果関係でとらえ直すことである。特にS−P'の過程を重視し,総合的・客観的な評価に基づく資料により,教育目標などに照らし,何が成果として実現され,何が次年度の課題なのかを明らかにして次年度の計画改善へ具体的に組み入れることである。

 このように,二つの観点から教育課程のPDSをとらえ直したとき,初めて動態的な教育課程の経営が可能になると考えられるが,要は,常に目標達成を目指して調整,コントロ―ルされる経営活動に支えられながら,日々の授業や教育活動がP-D-S-P'の過程に乗って連続的にダイナミックに展開され,学校教育の効果が高まることであるとまとめることができよう。

 この考え方を,教育現場の実状にあてはめてみると,教育目標達成を目指して,学校の諸活動計画を立案し,その計画に基づいて,学校の総力を上げて組織的に実践し,その評価の結果を再び教育目標の改善や新しい活動計画の樹立に生かしていくというような,いわゆる計画―実施―評価の教育目標具現のための循環過程が,円滑にはたらいていないのではないかと思われる。

2 研究の視点

 前に述べた四つの問題には,本研究にかかわる中心的な課題を含んでいると考えられる。

 したがって,本研究の方向性を明確にし,3年間にわたる研究を,意図的,計画的に進めるために,教育目標具現化のための基本的要件を,教育目標の「主体性」「地域性」「構造性」「循環性」としてとらえ,次に述べるような研究の視点を設定した。

 (1) 教育目標の主体性

 教育目標が全ての教育活動の中で達成されるためには,全教師が,教育目標設定のために参画することの意味を十分理解し,自発的意志をもって共同で思考しながら共通理解を図り,教育目標を学校の主体性に立つ目標として設定することが必要である。

 (2) 教育目標の地域性

 学校の教育目標を学校として独自性のある生き生きとした目標にするためには,現実の児童生徒の姿と,その児童生徒をとり巻く学校,家庭,地域社会などの環境の実態を統合的にとらえ,そこに現実の学校の課題と未来への期待を織り込んでいく必要がある。

 (3) 教育目標の構造性

 教育目標が教育活動の指標として真に生きてはたらくためには,各教科・道徳及び特別活動のそれぞれの領域における目標との関連を十分に図り,教育目標具現のための明確な実践方向が打ち出されなければならない。

 それぞれの領域の目標への具体化,及び学年学級目標への具体化,さらには,授業実践への具体化への道すじを構造的に明らかにする必要がある。

 (4) 教育目標の循環性

 教育目標が,学校経営のサイクルの中で円滑


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