研究紀要第59号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -011/053page
(3) 自校学校課題の把握
図―5 ( N=308(小),140(中),105(高) )
<考 察>
学校の教育の目的・方針との関連……図―3
教育目標の設定の際に,法令で定めている教育の目的や方針との関連を十分に吟味し,検討しているかという問いに対しては,小・中ともに,約70%が,「ある程度吟味している」と答えている。
しかし,小学校から高校へいくにしたがって,吟味していない割合が大きくなってきており,このことに関しての教師の意識が,薄れていく傾向にあると見ることができる。「十分に吟味している」という回答の割合が,小・中・高と進むにつれて低くなっているのも,そのことをよく表わしているように思われる。
自校の問題点の把握……図―4
小・中・高ともに約60%が,「とらえ方はあいまいである」と回答している。 「適切にとらえている」と回答した割合は,中学校が他に比べてやや高く,興味深い。中学校における様々な問題が話題にのぼる現状の表われと見るのは早計であろうか。この設問では,「自校の問題点はとらえているように見えるが適切ではない」というのが実態のように恩われる。
自校の学校課題の把握……図―5
この設問では,小・中・高のいずれも60%前後の割合で「課題のとらえ方は適切でない」としている。前にも述べたように,自校の問題点の把握があいまいである現状からも止むを得ないことと思われる。教育目標は,「必要である」と考えてはいるが,現在ある自校の教育目標には,自校の問題点や課題が十分に反映されていない状態が,このような結果をもたらしているのではないかと思われる。
以上,各設問ごとに考察したが,全体的には次のような問題点を含んでいると考える。
○ 教育目標を設定するための適切な手順が十分にふまえられているとは言えないようである。
○ 教育目標は,年度ごとによく検討されなければならないものであるが,現実には十分に吟味されずに,何年も同じ内容のままで継続されが ちのようである。なぜなら,今日的課題からみた自校の問題点の把握があいまいであること,目標設定のためには最も必要であると言われている「自校の学校課題の把握」が十分でないという結果がでているからである。
○ 上記のような実情から考えると,現在の教育目標は,それぞれの学校の実態に即したものであるとは言えないようである。ややもすると教育目標はかざりもの的で,名目にすぎない存在になりかねないと言われている現実の姿を反映しているようにも思われる。
自校の問題点及び課題把握のための調査の有無と,その適切性
問3 あなたの学校では.自校の問題点や課題をどのようにしてとらえましたか。次の項目について答えてください。