研究紀要第59号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -024/053page
教育目標を生かしている領域……図―22
「教育活動全体で生かしている」と答えた教師が小・中・高ともに約50%である。
この結果のみでは,教育目標を学校の諸活動に具体的にどのように計画化して生かそうとしているのかについては明らかでないが,学校の教育活動全体を通して教育目標を生かそうとしている教師が,半数近くいることがうかがえる。
「学年・学級(HR)経営で生かしている」という回答が,小・中・高とも割合が高いのは,学年とか学級(HR)で,教師と児童生徒または,児童生徒同士の話し合い活動の中に,教育目標にかかわる話題が含まれることが多いことを表していると思う。
「各教科の授業で生かしている」というのは,高校が―番多くなっている。
この回答には,図―21の「生かしている」2%のほかは,「少しは生かしている」という回答が含まれているので,その「生かし方」の程度については問題が残される。
教育目標を生かしていない理由……表―4
「教育目標について十分理解していない」と回答している教師が―番多くなっている。
このことは,問4の「教育目標について,どの程度検討しましたか」の設問に対して,「十分に検討した」という回答(小・中とも約20%)と対照して,その原因が次のように考えられる。
つまり,教育目標の検討過程で,その内容について十分に理解しない教師がいるままに,教育目標が設定されるために,教師の中には教育目標をよく理解しないで日常の教育活動を行っている場合もあるためであろうと思われる。
また,表―4で「生かし方の手順や方法がわからない」教師がいるということは,教育目標を日常の教育活動にどのように関連づけるかという,いわゆる教育目標の具現化の手順,方法について教師―人―人の理解を―層深める努力が必要であることを示しているように思われる。
また図―2]で,高校の場合,「教育目標を生かしていない」と回答している教師が約35%あるがこれは,教科の目標を達成すれば,教育目標は達成されるだろうという考え方が背景にあるためではと思われる。
以上,各設問の考察を行ってきたが,今後努力しなければならない点をあげると
○ 小・中・高とも,学校の教育活動が,教育目標達成へ向けて行われなければならないという 認識を更に高めていく必要があろう。
○ 日常の教育活動の中で,教育目標との関連を 図って指導に当たっている教師も多いわけであ るが,実践に際しては,指導計画の段階で,指 導内容と教育目標との関連を・十分に図ることには って,教育目標達成へ向けての―貫した教育活 動を推進することが大切であると考えられる。
各教科の授業と,教育目標との関連
問13 各教科の授業を行う場合,指導内容に,学校の教育目標を関連づけていますか。
(1) あなたの考えに合うものを1つ選んでください。