研究紀要第59号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -037/053page

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 (2) (1) で,1(丸囲み)と答えた方は,その理由と思うものを,下記の項目より1つ選んでください。

 図―41  ( N=26(小),29(中),29(高) )
図―41

<考 察>

学校の教育目標の具現について…図―40

 学校の教育目標が,児童生徒―人―人の言動となって表れているかどうか,いわゆる,目標の具現についてである。「ほとんど表れていない」のは,小学校の2倍が中学校,中学校の2倍が高校と,具現されていないという割合が,だんだん増加していることがわかる。

 また,「ほとんど表れていない」「特定のものについては表れている」「児童生徒の行動によく表れている」の割合についてみると,小・中が同じ傾向を示しているのに比べ,高校は,小・中と違った比率を示している。

 なお,「ほとんど表れていない」理由についての設問の結果が,図―41である。

 人数は,ごくわずかではあるが,この回答から多くのことが考えられる。

 まず,前述したように,「児童生徒の言動に表れている」が「表れていない」かについては,小・中と高校とでは,だいぶ差異が認められるのだが「表れていない」理由については,小,中・高とも,ほぼ同じような割合になっていることである。

 しかも,「ほとんど表れていない」という厳しいとらえ方をしていることと関連があるのか,「具体化は図ったが,指導や勢力の不足」が,ほかの理由よりも多くなっている。

 さらに,全ての項目も,本音に近いと考えてよいと思われるわけであるが,高校が,小・中とはやや違って,「教師間の協カ態勢が不十分」の比率が幾分高くなっていることに注目したい。

 すなわち,小・中・高とすすむにつれ,教科担任の色彩がより強まっていくことによって生じる小・中・高の体質的な違いが感じとれるような気がしてならない。

 本問での問題点としては,次のようなことが考えられる。

○ 「特定のものについてはよく表れている」という回答が,小・中では,だいぶ多いが,実際の評価との関連でとらえ直してみると,必ずしも具体的な評価がなされた上での把握とはいえないようであり,むしろ,この回答の中にも,主観的な見方が多いと考えられる。

○ 高校では,小・中と異なり,「児童生徒の行動によく表れている」が高い比率となっているが,“教育目標の具現”ということを正しくとらえたうえでの回答かどうかは疑しいとも思われる。理由は,「ほとんど表れていない」が,約40%と小・中よりもだいぶ多いからである。

○ 教育目標具現ということに視点をあててみると,目標設定,教育計画への位置づけ,実施,評価など全てのことがかかわってくるわけだが教師の意欲や熱意を無駄にしないためにも,どうすればよいかという具体的な方法を明らかなものにしていかなければならないと思われる。


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