研究紀要第59号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -038/053page

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IV 研究のまとめ

1 研究のまとめ

 本年度研究の主たるねらいは「II 研究の構想」で述べた4つの研究の視点に立って,各学校における教育目標具現の実態を把握し,そこに見られる問題点や背景にある要因をとらえることである。

 前述した実態調査結果からもわかるように,教育目標具現に関しては様々な問題が残されていることが明らかにされたが,研究の各視点ごとに考察すると次のようなことが言えるようである。

(1) 教育目標の主体性に関して

 教育目標の具現に対して,教師の理解を深め,協働体としての達成意欲にまで高めるためには,教育目標達成へ向けてのそれぞれの段階において教師の主体的な取り組みが必要とされる。

 今回の実態調査では,教育目標設定から教育課程編成・実施・評価に至るまでのそれぞれ過程で教師がどのような取り組み方をしているのかをとらえようとしたが,次のような事項が明らかにされた。

○ 教育目標は必要なものであるとは考えているが,それほどの切実感はないようである。

  教育目標が全ての教育活動の指針であり,学校経営の根幹をなすものであるという意識はあまりない。

○ 教育目標を設定するためには,自校の学校課題を明確にとらえなければならないという気持ちはやや希薄である。

 目標検討も実施されてはいるが,検討に対しての意欲はあまり強くない。どちらかと言えば例年通りの目標をそのまま継続していこうとする傾向にある。

○ 学年・学級の目標及び道徳・特別活動の目標 に学校の教育目標を具体化しようとする気持ちは強いが,各教科のそれぞれの目標へ具体化しようとする構えは極めて弱い。それ故に,日々の授業への具体化はいっそう希薄になっているようである。その背景には,様々な要因があると思われるが,その中でも,「具体化しなければならないという必要感はあるが,どのようにすればよいのかわからない」という考えが最も多い。

 このような考え方は,校内の授業研究など,現職教育を充実させる点にも反映しており,教育目標の達成を目的とした研究を目指そうとする傾向はあまりみられない。

○ 教育目標達成の評価に関しては,評価内容や評価方法等を含めて問題が多いが,「適切な評価の仕方を十分に検討したい」「目標達成を目指そうとする意欲に欠けていた」など教師自身が,これまでの指導のあり方を十分に反省し努力していこうとする意欲がうかがえる。

 以上のように,実態調査の結果からは,教育目標具現に関しての教師の取り組みはあまり意欲的ではないと言えるが,具体的で適切な手だてがあれば,具現をめざす意欲は高まっていくものと考えられる。

(2)教育目標の地域性に関して

 学校の教育目標の中核をなすものは,学校をとりまく地域の実態と子どもへの着目であり,各学校は目標設定を通して学校の主体性をいっそう確立し特色ある教育実践を可能にすることができる。

 今回の調査結果では,教育目標の地域性に関しては次のような事項が明らかにされた。

○ 教育目標設定のために行われている実態把握 の中では,「地域の人々の願い」や「学校の教 育環境」「地域の教育環境」及び「家庭の教育 環境」について十分にとらえられていないとい


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