研究紀要第59号 「学校経営改善に関する研究 第1年次」 -039/053page

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う結果がでた。

 子どもたちがどのような環境の中で,どのようなかかわりを持ちながら成長しているのかを明確に把握し,地域社会との連携を十分に図るという点からの切り込みが不十分であると考える。

○ 自校の教育目標は学校の実態に即しているとは言えないという考え方が多いが,実態として何を把握するのか,そのための適切な方法について検討しなければならないという意欲はあまり見られない。

 学校教育は,学校と子どもをとりまき,子どもたちの成長発達を条件づけている風土や歴史的社会環境,あるいは子どもたちの生活そのものに依存して成立する。

 それ故に,学校の主体性に基づく教育目標の設定のためには,地域性を中核にした実態把握の問題を今後十分に吟味し検討しなければならないと考える。

(3) 教育目標の構造性について

 学校の教育目標は,学校経営のかなめであり,学校のあらゆる教育活動を通して達成すべき,学校における教育の「指標」であるということは,前にも述べたが,教育目標が年次の重点目標におろされ,実践の方向性が定まったところで,これを,学年の目標や学級の目標に具体化するとか,各教科・道徳・特別活動の目標などに具体化とするなどして,学校の諸教育活動全体が,教育目標の達成へ向けて,構造性をもって展開されていくことを期待するわけである。

 この点について,調査結果の主なものを集約すると,次のようになる。

○ 教育課程の編成に当たり,教育目標の学年,学級目標への具体化については,かなり関連が図られているようである。

 道徳,特別活動の場合は,学年,学級目標の場合よりは少ないけれども,関連を図ろうとする努カはみられる。

 しかし,各教科の目標と教育目標との関連については,不十分さが目立っている。

○ 指導計画を作成する場合の教育目標との関連づけについては,配慮していないというのが,大変多い。

○ 道徳や特別活動の授業と,教育目標との関連づけについては.内容そのものが教育目標と直接にかかわるものが考えられるためか,関連づけを考えた指導が,ややなされている。

○ 各教科の授業と教育目標との関連づけについては,考えていないというのが,道徳や特別活動と比べて多くなっており,各教科のみの目標を重視する考え方が強い。

 以上のように,全体を通じて,教育活動と教育目標との関連づけについては,小学校よりも中学校,中学校よりも高校という順序で,落ち込みの差が大きくなっている。

 これらの結果を通して考えなければならないことは,教育目標が,学校における教育の「指標」であるという考え方を,―人―人の教師に浸透させながら,教育目標を学校のすべての教育活動の中に具体化させる方法,手順などについて追求しなければならないだろう。

 (4)教育目標の循環性

 学校経営は,学校の教育目標を効果的に達成するために行われなければならないと思われるが,そのためには,当然そこに,計画(P)―実施(D)―評価(S)―計画(P’)―といった,教育目標具現のための循環過程が円滑にはたらいていなければ,効果を上げることは困難であると考えられる。この点について,調査の結果を集約すると次のようになる。

○  教育目標の検討は,十分に行わなければ意味がないと思われるのに,十分検討しでいるというのは,小・中・高とも非常に少ない。

 このことは,教育目標に対する教師の意識の調査結果とも相関関係がみられる。

○ 教育目標の達成評価については,学校で定められた方法で評価しているというのが多く,さらに,定められた尺度で評価しているということから,一般に行っている3〜5段階評価が安


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