研究紀要第60号 「『関心・態度』の評価に関する研究」 -009/049page
1 社会科における研究のねらい
この研究は,社会科を通して児童生徒に育てようとしている学カの一要素としての「関心・態度」について,その評価の在り方を明らかにすることを主なねらいとしている。
より詳しく述べれば,社会科における「関心・態度」の評価についての理論研究と実践研究を進め,主として次の諸点を明らかにしようとしたのである。
●指導目標(評価目標)をどのように設定するか。
●評価をどのような方法で行うか。
●評価の結果をどのように指導に生かすか。
さて,この教科における「関心・態度」の評価に関する研究では,授業に対する「関心・態度」の評価の在り方を明らかにすることも大切ではあるが,このことについては,学カの一要素としての「関心・態度」の評価の在り方を明らかにする過程で,必要に応じて,付随的に触れることとした。後の項で,その理由を詳しく述べるが,社会科の学力の一要素としての「関心・態度」と社会科の授業に対する「関心・態度」とは同質ではないという考えに立つからである。
2 研究の進め方
この研究を進めるためにたてた具体的方策の概要を示すと,次のようになる。
第一に,社会科における「関心・態度」の評価の在り方についての理論研究を進め
第二に,得られた理論を,研究協カ校における授業で検証し,その有効性について考察することにする。
第一の理論研究の段階では
1 社会科の本質と「関心・態度」との関連を考察し,その後
2 社会科の学力と「関心・態度」との関連について考察する。ここでは,
●指導要録に示された評価の観点の分析から「会科の学力」とは何かを確かめ
●社会科の学力の一構成要素としての「関心・態度」の意味を考察する。その際,先行研究における「関心・態度」に対する意味分析の在り方についても考察する。
3 社会科の学力の一構成要素である「関心・態度」の評価についての基本的な考えを明らかにし,あわせて,社会科の授業に対する「関心・態度」の評価との関連についても考察する。
第二の,検証の段階では,検証授業を行う単元を例として,「関心・態度」の評価の在り方に関して
1 学習内容を検討し,観点別目標分析を行う。
2 「関心・態度」の達成目標と,その他の観点の達成目標との相互関係をとらえる。
3 「関心・態度」の達成目標を,総論3ー(2)ー3で述べた視点に立って構造的にとらえる。ここでは,
●教材分析を通して,単元でねらう中心観念と,その基本要素,具体要素との関係を明らかにする。
●「関心・態度」の達成目標を,下位のレベルから上位のレベルヘの深化・発展という階層関係で分析し
●具体要素の学習の過程を通して,それぞれのレベルにおける「関心・態度」の達成目標と,その他の観点の達成目標との相互の関連性(構造)を明らかにする。
4 3で構造的にとらえた達成目標に対応した評価の在り方(評価目標の設定など)について考察する。その過程で,授業に対する「関心・態度」の評価の在り方についても考察する。
5 検証授業のための学習指導案を作成し,研究協力校において授業を行う。
6 検証授業の分析を行い,この研究で明らかにしようとした「関心・態度」の評価方法等の有効性や問題点について考察する。