研究紀要第60号 「『関心・態度』の評価に関する研究」 -023/049page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

席表などによりチェックすれば足りるからである。(ー)と評価された児童については,個別に指導の手を加え,それぞれの目標がすべての児童によって達成されるようにしておくことが大切である。

最後に,下位目標4は,本時のまとめの段階に書かせる作文によって評価しようとするものである。評価段階は4個としたが,これは後で述べる小単元レベルの目標にも活用できるようにするための配慮であり,下位目標4についての評価という立場に限れば,AとBは(+), CとDは(ー)と見てさしつかえない。もし,(ー)の児童がかなり多いということになれば,次の時間の導入段階において,そのことに十分留意した指導が必要となるし,少数の場合は,次の時間までに個別指導をしておくだけで十分である。

2 小単元レベルの目標に関する評価

ア 評価の機会

 認知的な側面における評価は,小単元の指導が一段落した時点でも行うことができる。しかし,「関心・態度」の評価はそうはいかない。認知的な側面では,児童の力の上限をとらえて評価すればよいが,「関心・態度」では,いま実践しつつある状態をとらえなければならないからである。従って,「関心・態度」の評価はどんなレベルのものであれ,現に学習を進めている場面に評価の機会を設けなければならないのである。

 この評価計画の場合は,製鉄業における工業用水の使用量を調べ終わった時点とその工業用水の確保について追究する場面とに評価の機会を設けることにした。

イ 複数の評価用具の使用

 およそ,「関心・態度」の評価用具として考えられるものには,いずれも測定の正確さの面で限界がある。従って,下位目標の評価の場合はともかく,小単元レベルの目標について評価する場合は,複数の評価用具を組み合わせて,評価することが必要である。

 この評価計画では,下位目標4の評価のためにも使用する作文記述と児童が個別学習を進めている様子の観察結果とをあわせ用い,両者を組み合わせて評価することにした。前者は,個々の児童の作文力の高低によって影響を受けやすいし,後者は短時問のうちに観察するのであるから,それなりの制約は免れないと考えたからである。

 なお,この両者の組み合わせによる評価の方法については後述する。

ウ 作文記述の読み取り及び観察の方法

評価計画にあるとおり,作文記述についてはA〜Dの4段階,観察結果についてはA〜Cの3段階に分けることにした。教師は,主観をまじえず正確にこの分類を行う必要がある。特に,本質的でないものによって左右されるいわゆるハロー・イフェクト(眩●効果)に注意しなければならない。

 こうしたことをできるだけ避け,評価の信頼性を高めるためには,次のような作文記述や行動のリストをあらかじめ作成しておき,それによって判断することが大切である。

表6 作文分析と行動観察のためのリスト
  作文分析のためのリスト   行動観察のためのリスト
A ・〜が分かったので今度は〜を調べてみたい。
・〜の考えは,〜を調べるのに使えると思う。
A ・創造的に作業に取り組む。
・追究方法を自分なりに開発して作業に取り組む。
B ・〜には驚きました。
・〜がおもしろかった。
・まさか〜と思わなかった。
B ・教師の指示どおり作業に取り組んでいる。
C ・〜がわかりました。
・〜を勉強しました。
C ・ぼんやりしている。
・よそごとをしている。
D (学習内容に対する 記述が見られない。)
 

エ ニつの評価用具の組み合わせによる評価

 自己評価法(作文)と観察法から得られた結果は,次のぺ一ジの表7のように組み合わせて


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。