研究紀要第60号 「『関心・態度』の評価に関する研究」 -024/049page

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小単元レベルの「関心・態度」を3段階に評価することとした。

 作文の記述から,学習対象を感動を持ってとらえている(B)ことが読みとれ,追究場面において,自ら工夫を加え,多様な方法によって調べている(A)ことが観察されれば,目標が十分に達成されたと見ることができる。逆に,追究場面において,指示されたとおり調べている(B)にすぎないにしても,作文の記述から学習の発展に対する内的動機づけ((A)がなされていることをうかがうことができれば,これも十分達成と判断することができる。

 更に,作文の記述が,学習対象への注意が見られる(C)程度であっても,追究場面において指示されたとおり調べている((B)様子が見られれば,おおむね達成と評価される。

 なお,表の中の空白の部分は,一般的にあり得ないと思われるが,もし,そのようなことがあった場合は,個々の児童についてその原因を追究することが大切である。

表7 自己評価(作文)と観察の組み合わせによる評価

(+)十分達成 (0)おおむね達成(ー)達成不十分

オ 評価結果の活用

 小単元レベルの目標に関する評価も,必ず指導にフィードバックさせなければならない。具体的には,必要に応じて補充的な指導を行うとか,次の小単元の指導において,評価結果に十分留意した個別指導を行うことが考えられる。いずれにしても,認知的な側面における評価の結果を参照して,個々の実態に即応して指導することが必要である。

(2) 授業に対する「関心・態度」の評価の方法

 指導目標を効率的に達成するためには,児童の実態に即して,最適の学習内容,指導方法,学習形態を採用しなければならない。つまり,児童が興味を持って,喜んで参加できるような内容,方法,形態によらなければ,認知的な側面においても,「関心・態度」においても,学習の成果をあげることは難しい。

 そこで,児童が授業に興味・関心を示しているか,積極的に授業に参加しているかなどについて評価を行い,授業の改善に役立てる必要がでてくる。これが,授業に対する「関心・態度」の評価である。

 20ぺ一ジの表3にあるNo.1,No.2,No.4の評価は,こうした目的のために設定されたものである。

 この時間のねらいは,「水島工業地区の新旧の地図を比べ,その変化の様子と新しく工業地区ができるまでの経過をとらえることができる」ことがあるが,これにせまるために,水島工業地区のうめたて工事を追体験させる色ぬり作業を設定した。上記の三つの評価は,それぞれこの作業の前,中,後に設けたものである。

 ここで問題になるのは,仮に評価の結果が「作業に興味を持って取り組まなかった」となった場合,その原因が授業の内容,形態,方法のいずれにあるのかが明確でないことである。原因が明らかでない以上,対策をたてることは不可能である。

 そこで,この指導計画においては,先にあげたように作業の前,中,後に評価の機会を設けたり,No.3,No.5,No.6の評価もあわせ用いたりすることによって,原因までも明らかにできるようにした。

 こうして,授業に対する「関心・態度」が低調な原因が分かれば,次時以降の一人一人の指導に配慮を加えたり,授業そのものを改善する手がかりが得られることになる。

 なお,No.3とNo.6の評価は,そのまま「社会的事象に対する関心・態度」の評価にもなることは言うまでもない。


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