研究紀要第61号 「生徒指導に関する研究」 -005/043page
4. 調査項目の構成要素
調査項目の構成は,本研究でとらえた耐性の概念や,耐性にかかわる関連図をもとに,耐性を促進あるいは阻害すると思われる特性を選び,それぞれの特性と関連する要因を表1のようにとらえて,それをもとに設問の構成を行い調査することにした。
表1 調査項目にかかる耐性の特性・要因 促進特性・要因 特 性 要 因 意志力 要求・欲求・意欲・やる気 耐久力 ふとう不屈,持続力・根気 自己統制力 自律心,仰止力 感情・情緒 適応力,寛容・寛大 洞察力 計画・企画力 阻害特性・要因 衝動性 軽 率 自己防衛 逃避・自己主張 目標・価値観の喪失 目標不明確 3 調査の方法と対象
本研究では,研究の独自性をもたせるため,児童生徒の耐性についての意識・思考・行動などの実態を幅広く把握し,実態をできる限り的確にとらえることを意図した調査研究の手法によって進めようとするものである。
調査のための具体的な設問構成に当たっては,まず,調査の対象を児童生徒の「家庭生活」及び「学校生活」の二場面とし,それぞれの生活における,耐性の促進特性・要因と阻害特性・要因のそれぞれの要因から設問構成を図った。
更に調査は,児童生徒の「家庭生活」,「学校生活」における自己評価をさせるとともに,保護者には子供の「家庭生活」,教師には児童生徒の「学校生活」におけるさまざまな態様を問うことにした。
なお,保護者と教師に対しては,育てたい子供像についての調査,教師には耐性を支える特性,阻害する特性についての調査を行った。また,保護者には「しつけ」に対する養育態度についても調査をした。
調査対象校の選定に当たっては,まず,調査対象地域が特定の地域に偏ることのないよう配盧し,しかも都市部,町村部等を考慮して調査対象校を選定し,研究協力校として依頼した。
1. 調査対象及び学年
・小学校児童(4年)
都市部 7校 447名
町村部 7校 562名 計1,O09名・中学校生徒(2年)
都市部 7校 573名
町村部 7校 434名 計1,O07名・保護者
小学校 1,005名
中学校 1,005名 計2,010名・教師
小学校 346名
中学校 307名 計 655名2. 調査方法
児童生徒,保護者,教師とも選択肢質問紙法とした。
3. 選択肢の表現及び配列についての留意点
(1) 選択肢の表現及び配列は,選択肢1と2は設問に対するマイナスの傾向を示すものとし,3と4はプラスの傾向を示すものとした。
(2) 調査に当たっては,選択肢の配列順序をかえ,児童生徒が作為的に回答できないように配慮した。