研究紀要第63号 「教育課程の実施に関する研究」 -005/093page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

源の有効な利用及び確保などに努めていること,国民生活の上で工業製品の生産が大切であること及び各種の公害から国民の健康や生活環境を守ることが極めて大切であることを理解すること。


 小単元「自動車工業のさかんな都市」は,これを受けて,工業の盛んな地域の具体的事例として豊田市を取り上げ,主に「土地や交通の条件」及び「新しい技術の開発」について理解させることを主眼としている。
 従って,本小単元の目標は,次のように設定することができる。
1.自動車工業の盛んな豊田市を取り上げ,工業の種類によっては,海岸から遠いところにも工業が立地できることを,土地や交通の条件から理解させる。
2.自動車工業について,総合組み立て工場のしくみ,品質の良い自動車を作るための工夫及び関連工場の役割や生産のようすを理解させる。
3.説明図,グラフ,写真,ビデオ・テープ資料集などから自動車生産のしくみをとらえ,TP,イラストなどに表現できる能力を養う。

 しかし,「一人一人を育てる」授業を展開するには,これらをより細分化された目標に分析する必要がある。なぜならば,基礎的事項の完全習得を図るとき,細分化された目標の中から,すべての児童に達成させるべき基礎的な目標を特定しておくことが前提となるからである。 分析にあたっては,下に示すように,縦軸に学習内容を置き,横軸に指導要録の観点別学習状況欄の各観点を置いて,それらの交わりに具体的な目標を設定するのが適当であると考える。
 このようにして,小単元の目標分析をしたものが,下に示す表1である。

表1 小単元の観点別達成目標分析
    観点

学習内容      

知 識・理 解

観察・資料活用の能力

社会的思考・判断

社会的事象に対する関心・態度

豊田市の位置とそのようす 1.豊田市には,8つの大きな自動車工場と部品を作る多数の関連工場が置かれていることが分かる。 5.地図帳により豊田市の位置をみつけ,その位置の特色を指摘することができる。 9.製鉄業との対比から,自動車工業が内陸部に立地できるわけを考えることができる。 13.自動車の生産について問題意識を持ち,進んで追究しようとしている。
自動車生産のしくみ 2.自動車生産は,いくつかの生産工程に分かれており,自動車工場で働く人々は,それぞれの工程を分担して,流れ作業をしていることがわかる。 6.教科書,参考書,写真,パンフレット,ビデオ・テープなどから,問題解決に必要な情報を収集することができる。
7.集めた情報を整理して,説明用の資料に再編できる。
8.自動車ができるまでについて,イラストなどによりまとめることができる。
10.能率よくしかも安全に自動車を生産するための工夫を総合的に考えることができる。
品質のよい自動車の生産 3.自動車工場では,品質のよい自動車を生産するために,さまぎまな研究やテストが行われていることが分
 かる。
11.自動車工場が,品質向上のためにいろいろな努力をしているわけを考えることができる。
関連工場の役割と生産のようす 4.自動車の部品の大部分は,関連工場で作られており,そこでは親工場の注文に従って多くの人手をかけて部品を作っていることが分かる。 12.関連工場が自動車の大量生産や品質向上に果たしている役割を考えることができる。

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。