研究紀要第63号 「教育課程の実施に関する研究」 -014/093page
(1)第2時 学習課題の把握について
まず,「自分が自動車会社の社長だったら」ということで,話し合いが行われ,「会社がもうかるには,自動車がよく売れることが必要であり,そのために,みんなに喜ばれる自動車を作るよう心掛けているにちがいない。」ということになった。
そこで,「喜ばれる自動車とは,どんな車か。」ということについて,班ごとに話し合いが行われた。その結果,喜ばれる自動車として,次のようなことが出された。
・かっこいい車 ・ガソリンがくわない車
・スピードの出る車・安全な車・運転しやすい車
・安い車 ・公害のない車・長もちする車
・性能のよい車
続いて,次のような話し合いが行われた。
T これらを2つにまとめると,どうなるかな?
P ・・・・・・・。
T では,性能の良い車に含まれるのはどれ?
P1 あ。安い車以外はぜんぶ入ってしまう。
P2 2つにまとめれば,「安い車」と「性能の良い車」になる。
ここで,児童たちは,「性能がよくて,安い車を作るには,どんな工夫をしているだろうか」という小単元の学習課題を確認した。次に
T この学習課題をいくつかに分けたいのですが,どうしますか。
P3 性能のよい車を作る工夫と安い車を作る工夫に分けられます。
P4 でも,自動車の部品を作る工場のことも調べたいな。
という話し合いを経て,「選択学習」のための小課題「性能のよい車を作る工夫」,「安い車を作る工夫」及び「関連工場における工夫」が設定された。(2)第3時・第4時 興味関心に基づく選択学習について
各学習班は,上記の三つの小課題のうちから一つを選び,追究活動を行った。ただ,こうした学習活動が初めての経験であったので,軌道に乗るまで,やや時間がかかった班も見受けられた。しかし,いずれの班も,第3時の中ごろになると,熱心にメモを取りながらVTRを見る者,図書館に行って参考書をさがす者,教科書に書かれてあることについて話し合う者などが見られるようになった。中には,授業時間だけでは足りず,放課後,自主的に学習活動を行った班もあった。
下に示すのは,ある班が自動車工場と関連工場の関係をTPにまとめたものである。
(3)第6時 形成的テストと補充的学習について
形成的テストは,約10分で行われ,その採点処理には,約7分を要した。このテストによる目標達成状況は,次のとおりである。
表6 形成的テストによる目標達成状況
目標達成状況 全目標達成者 未達成目標を持つ者 計 男・女別 未達成目標数 0
1
2
3
4
5
男 7人 4
5
3
1
1
21
女 6
5
4
2
2
1
20
計 13
9
9
5
3
2
41
5つの目標のうち,未達成の目標を1つでも持つ者には,P.A8に示したようなカードを配布し,直ちに補充的学習を行わせた。補充的学習に入った者28名のうち,21名は,第6時のうちにカードの問題を正しく解き全目標の達成が確認された。しかし,残る7名は,目標達成に至らず,家庭において補充的学習に取り組ませた。これらの児童も,その後の個別指導により,第7時が始まるま