研究紀要第63号 「教育課程の実施に関する研究」 -020/093page
5.指導上の留意点
(1)本教材の指導にあたっては,児童一人一人にこの自作コイルを製作させながら,自然の事象について探究させ,電磁石に関する基礎的・基本的事項を理解させることを通して,成熟感・達成感等を得させる。
(2)豆電球は,流れる電流を制限し,電池の消耗をおさえるとともに,電流が流れていることを視覚的にとらえさせる。
(3)教科書では,銅線を鉄くぎに直接,きまった回数を巻かせるようになっているので,前述のような多様な実験はできない。ここでは,その点を改善して製作を試みたものである。したがって,鉄心の有無による磁力の変化を調べることも指導過程上に位置づける。
(4)使い捨て注射器を入手できない時は,教材店で1個30円程で売っているので,これを利用させる。B 手巻きコイルを用いた着磁・消磁器づくりとその指導
1.磁石に関する指導上の問題点と改善方策
(1)磁石に関する指導上の問題点
磁石は我々の日常生活の中で多く用いられているし,児童も多くの興味・関心をもっている身近なものである。したがって,磁石に関する教材は小学校1・3・4・6学年で取りあげられており,電流や磁界に関する科学概念を段階的に習得させるようになっている。
しかし,現在は安価なフェライト磁石が多く出まわり,磁石はあまりにも身近なものとなってしまったため,児童は断片的ではあるが,磁石については知っていて,学習教材としてとりあげるときには,あまり興味・関心を示さず,それ以上探究しようとする意欲は見られない場合もある。
また,多くの学校では,数の限られた,しかも弱い磁石が多く,児童が自主的・主体的に探究を深めることはむずかしい場合も見られる。
(2)改善方策
手軽に作れる簡単な着磁・消磁器を製作し,児童の目前で磁石をつくって見せたり,児童自身に作らせたりして興味・関心を喚起したり,強い磁石を多数そろえて,児童一人一人に十分探究させることができるようにする。
また,着磁・消磁の現象を観察させたり,コイルを利用した磁石をつくる働きを理解させることができるようにする。2.コイル巻き器のつくり方
次ページの図表−4のように,着磁・消磁器用コイルをつくるための「コイル巻き器」を次のようにして作る。
1 長さ30cm,幅16cm 厚さ1.5cmの木坂で台板をつくる。