研究紀要第63号 「教育課程の実施に関する研究」 -024/093page
(3)小学校6学年
「電磁石づくり」の初めに,課題提示として着磁・消磁現象を観察させ,興味・関心を高めるときに当研究の着磁・消磁器を用いる。その時,B3ページに書いてあるような指導過程で指導するのがよいと思われる。7.指導上の留意点
(1)この着磁・消磁器は1200円程度で製作でき児童にも,着磁のときのスイッチの押し方さえ指導してあれば十分使用させられるため,できれば5〜6台学校で製作しておくと指導に非常に役立つと思われる。
(2)100V電源を整流しないで用いるため,着磁極はS極になったり,N極になったりするが,その方が児童の関心を高め,興味をもって学習できることも考えられるが,小学校3学年の後の段階では,標準磁石を用いてN極・S極を区別できるように指導する。C 簡易真空ポンプの製作とその指導
1.真空に関する指導上の問題点と改善方策
(1)真空に関する指導上の問題点
小学校5学年理科教材に「ものの燃えかた」「種子の発芽条件」「音」など,空気に関する指導事項がある。
この指導において,「ものが燃えるのに空気が必要→空気がなかったら?」「種子の発芽に空気が必要→ 空気がなかったら?」など,真空に関する児童の直観的な発想が多くでてくるのが自然である。しかし,現在までに簡単に真空をつくる装置が見あたらないため,空気のない条件を直接つくり出して対比させてやる児童実験や演示実験はあまり実施されていない。
各学校には電動式真空ポンプがあるが,一台限りであり,重くて移動が限られることや,更に,取り扱いが困難で児童には使用させられないことなど指導上の問題点が多く見られるためと思われる。
(2)改善の方策
各学校等で行なわれている予防注射で多くの「使い捨て注射器」がでてくるが,これを利用した,安価で,手軽で,安全で,児童にも十分使用させられることのできる簡易真空ポンプの製作と指導について研究実践した。
なお,この真空ポンプの製作と指導においては次のような意図をもって行った。
1 身近にある使い捨ての注射器を利用するため,製作費は500円以下でできる。
2 製作方法が簡単で,特別な道具は必要としない。そのため,誰れでも手軽に作れるし,耐久性や後の管理に特別な注意を必要としない。
3 軽く,持ち運びが容易であることと,その使用法が簡単なため,各教室でも使えるし,児童にも安全に使用させることができる。 したがって,児童の直観的な発想を,児童