研究紀要第63号 「教育課程の実施に関する研究」 -037/093page

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(2)資 料  (録音をもとに印刷した児童用で,時間の終了近くに渡したものである。)

な い た 赤 お に

みなさんは,おにを しっていますか。そう,あたまにつのがはえている あの おに。
 これは,むかし むかし まだ おにが山おくに すんでいたころの  おはなしです。

(歌)
赤いおには 大きらい 青おにも 大きらい
 赤いおにが きたら まめまいて おっぱらえ
青いおにが きたら はりで 目んたま
 つっつけ

「どうして にんげんは,ぼくたち おにを あんなにきらいなんだろう。どうして おにと にんげんが なかよくしちゃ いけないのだろう。」
 ある山の がけのところに すんでいる 赤おには,うまれつき とても 気もちの やさしいおにでした。かおつきも いままでの おにとちがって どこか やさしいところが ありました。
「ぽくは おにだけど,でも 村の人たちともなかよくくらしていきたいな。あたまに つのがはえていたって わるいことさえ しなければ にんげんだって きっと あそびに きてくれるさ。」
 そこで 赤おには,じぶんのいえのまえに こんな たてふだを たてました。
『心のやさしい おにのいえです。おいしい おちゃと おかしを ごちそうしますから どなたでも おいでください。 赤おに』
「おい見ろよ,ここに へんな たてふだが あるぞ。」
「なに なに おにが おちゃを ごちそうしてくれるって。へえ うまいことをいって おれたちが はいっていったら バリバリと たべてしまうに ちがいない。」
「まったくだ。あぶない,あぶない。さあ はやいとこいえへ かえろう。」
 村の人たちは,たてふだを 見ても だれひとり 赤おにのいえには あそびにはきませんでした。
 気もちのやさしい 赤おには がっかりしました。いえ それよりも やたらはらが たってきました。
「なんだい。せっかく なかよしになろうと 思ったのに,こんな たてふだ ちっとも やくにたちやしない。ええい,こわしてしまえ。なんだこんなもの なんだ こんなもの。」
「おい おい。」
「なんだ こんなもの。こんちくしょう。こんなの こわしちゃえ え−い。」
「おい,赤おにくん。」
「あっ なんだ 青くんか。」
 それは,むこうの いわ山に すんでいる 友だちの 青おにでした。
「どうしたんだい。手あらなことを やらかして いつものきみらしくない。ねえ なにか あったのかい。」
「ええ うん まあ その ちょっと。」
 赤おには,たてふだを たてたこと,でも 村の人たちは だれも あそびに きてくれなかったことを はなしました。
「ねえ,青くん。どうして おにと にんげんは なかよく できないんだろう。」

(歌)
おにの あたまにゃ つのがある
 人の あたまにゃ つのがない
だけど それがなんだろう
人の目には なみだが やどる
 おにの目にも なみだは ひかる
それは おんなじ きれいな なみだ
 人の あたまにゃ つのがない
おにの あたまにゃ つのがある
 だけど それがなんだろう なんだろう

「ようし わかった。そんなに 村の人と つきあいたいのなら ぼくに いい 考えがある。さあ いっしょに村へ 行こう。」


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