研究紀要第63号 「教育課程の実施に関する研究」 -041/093page

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C.「どっちとも好きです。」
C.「私も両方好きです。」
C.「ばくは,青鬼さんが好きです。どうしてかというと,赤鬼のために暴れてやって,どこかへ行ってしまったからです。
T.「赤鬼さんが好きだという人はいませんか。」
C.つぶやきだけで挙手をする児童がない。
T.「どうして,赤鬼さんは泣いたのでしょう。」
C.「青鬼がどこかへ行ってしまったので,赤鬼は泣いた。」
C.「親友の青鬼がどこかへ行ってしまったので悲しくなって泣いた。」
T.「親友という難しい言葉が出てきましたが,みなさんはわかりますか。」
C.「はい,わかります。」
T.「とても仲のよい友達のことですね。青鬼さんがどこかへ行ってしまった,どこか遠くへ行った青鬼さんの気持ちがわかって涙を流したのですから,赤鬼さんも,そう,心のやさしい鬼さんだということですね。」
C.「はい。」
T.「ところで,青鬼さんがどこかへ行ってしまったから好きだということでしたが,みなさんは青鬼さんのようにできますか。」
C.「できません。」
T.「そんなことをしたら,お母さんやおうちの人が悲しむでしょうし,青鬼さんのように悪者になってやって,どこかへ行ってしまうことはできませんよね。」
C.「はい。」
授業スナップ写真
T.「みなさんの心,私たちの心の中には,青鬼さんや赤鬼さんのような気持ちがあるでしょうか。」
C.「気持ちがあると思います。青鬼さんは村の人たちと仲よくなりたい赤鬼さんのために暴れて.どこか遠くへ行ったんだから,やさしい心だと思います。」
C.「やさしい心は少し持っているからあると思います。」
T.「青鬼さんのように自分が悪者になったり,どこか遠くへ行ってしまうことはできないということだったでしょう。」
C.「はい。」
T.「でも,やさしい心ならあるというのですね。」
C.ほとんどの児童がうなずく。
T.「よく考えてみると,おなかが痛くなった友達を保健室へ連れて行ったり,この時間の始めにもあったように,困っている人に教えてあげたり,転んだ子がいたら助けてあげたりするでしょう。」
C.「はい。」「します。」
T.「そういうことは,どれもみな青鬼さんが赤鬼さんのために,わざと暴れてどこかへ行ってしまった気持ちや,赤鬼さんが青鬼さんの手紙を読んで,青鬼さんの気持ちがわかって涙を流した心と同じだといえるんですね。
 だから,そのように考えてみると,みなさんが今までに行ってきたことが沢山あるわけですし,青鬼さんや赤鬼さんと同じような心が私達の心の中にもあるということですね。」
C.「はい。」
T.「青鬼さんの手紙をみんなで読んでみましょう。」
C.手紙を全員で読む。
T.「この手紙を書いて入口の所にはって,どこか遠くへ行った時の青鬼さんは,どんな気持ちだったでしょうね。」
C.「さびしかったと思います。」
C.「赤鬼さんと別れたくないなあと思ったと思います。」


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