研究紀要第63号 「教育課程の実施に関する研究」 -050/093page

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(2)図形指導の系統
 図形指導に当たっての基本となる考えとして,小学校及び中学校における図形の指導の系統や内容の関連を十分に考慮し,順次,発展的に指導することが必要である。これは,中学校数学が小学校の算数の基本の上に,更にそれを発展させることをねらいとしていることから当然といえる。
 特に,中学校第2学年からの論証的な取り扱いの学習においては,図形についての基礎的な概念や性質の理解と直観的な見方や考え方のできる能力が必要とされる。従って,小学校から中学校までの各学年で指導する図形の内容の関連やそれを取り扱う方向やねらいを十分に把握して指導することが大切である。つまり,生徒の発達段階に応じた指導内容を適切にすることによって,基礎的な知識,技能の習得が効果的になり,中学校の図形領域でめざす論理的な思考力や表現力の育成という目標が確かなものになると考えられるからである。
 ここでは,小・中学校の図形指導の方向やねらいの系統(図1)と小・中学校の図形教材の内容の関連(図2)を示しておくことにする。

く図形指導の方向やねらいの系統>(図1)
小1

具体的な操作を通して,図形や空間の理解の基礎となる経験

       
           
小2

ものの形,位置などの考察と基本的な図形や空間の概念の理解

       
           
小3

基本的な図形の理解とそれをかいたり用いたりすること

       
    ↓      ↓        
小4   平行,垂直の意味 基本的な平面図形と立体図形の理解      
    ↓      ↓              |        
小5   合同の意味 図をかく能力を伸ばす     |
基本的な図形の考察     |
       
    ↓      ↓              |        
小6   対称性,相互関係に着目した図形の考察と理解              |        
    ↓                     ↓        
中1   直観的な見方や考え方  操作や計量から空間図形の
  性質についての理解
       
    ↓      ↓        
中2  数学的な推論の意義と方法の理解
 論理的に表現する能力を養う
基本的な平面図形の
理解と性質の考察
       
    ↓      ↓        
中3   論理的な考察と表現力の育成 三平方の定理や円の
性質の理解
       


く小・中学校の図形教材の内容の関連>(図2)
く小・中学校の図形教材の内容の関連>(図2)

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