研究紀要第63号 「教育課程の実施に関する研究」 -055/093page

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5.図形指導における論理的な表現能力を高める指導の実際

(1)単元指導計画の作成
 論理的な思考力や表現力を高めるためには,長期的な指導計画を立て,段階を踏んだ指導をする必要があると考える。そこで・「平行と合同」,「平行四辺形」の二つの単元の学習内容を証明指導のための段階(P.D5の(2))に目標分析による学習到達基準を設定した指導計画(P.D6の(3))を位置づけた単元の指導計画を以下のように作成した。

  証明指導のための段階目標 単元の指導目標 学習目標(学習到達基準) 用語・記号
第一段階  証明らしいことを始める段階で,図形の性質についてある判断をさせ,それの正しい理由を考えさせる。 ab 平行線と角 2 ○直角の記号∠Rや角の種頬,対頂角の性質を理解させ用いられるようにする。 1 直角を∠Rとし,角度を∠Rで表すことができる。
2 鋭角,鈍角の区別ができる。
3 対頂角の意味と性質がわかる。
∠R, 鋭角,

鈍角,

対頂角

平行線と角 2.5 ○平行線と角についての性質を理解させ,用いられるようにする。 4 同位角,錯角の意味がわかる。
5 平行線の意味を知って平行線をひくことができる。
6 平行線の性質がわかり,説明することができる。
7 平行線になるための条件を言うことができる。
同位角,
錯角
第二段階  証明の必要感をもたせる段階で「三角形の内角の和は2∠Rである」という基本性質を用いて,筋道立てて正しい推論をしようとする態度を育てる。 abc 三角形の内角と外角 2 ○三角形の内角や外角についてその性質を理解させ,用いられるようにする。
○三角形の種類の区別と用語を理解させる。
8 三角形ABCを△ABCとかくことができる。
9 三角形の内角と外角の意味がわかる。
10 三角形の内角と外角の関係を説明することができる。
11 三角形の内角の和が2∠Rであることを説明できる。
12 三角形の種類を内角から分類することができる。
13 直角三角形の斜辺を指摘することができる。
△ABC
内角,外角
鋭角三角形
鈍角三角形
直角三角形
斜辺
多角形の内角と外角 3 ○多角形の内角や外角について,それらの和の求め方を理解させ,求めることをできるようにする。 14 多角形の意味がわかり,記号を用いてかくことができる。
15 多角形の内角と外角の意味がわかり,指摘できる。
16 四角形の内角の和が4∠Rとなることがわかる。
17 多角形の内角の和を工夫して求めることができる。
18 n角形の内角の和は2(n−2)∠Rとなることがわかる。
n角形
2(n−2)∠R


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