研究紀要第64号 「生徒指導に関する研究」 -000-01/046page

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ま え が き

 近年,人間性豊かな児童生徒の育成について県民の期待が一層高まるとともに,県内各学校においては,「未来をひらく心豊かなたくましい人問」の育成を目指しながら,県教育委員会の重点施策のもと,これに応える熱心な教育活動が展開されていることは,誠に喜ばしいことであります。
 しかし,遣憾ながら,様々な問題行動など憂慮すべき事態が生じていることも事実であり,学校教育において,児童生徒の好ましい人間関係を中心とした生徒指導の在り方が,今日ほど厳しく問い直されている時はないと言えます。
 これらの問題行動の根は深く,家庭,学校,社会の在り方など様々な要因が相互に関連し,複雑に絡み合っているものと思われます。そして,その要因・背景の一つには,今日の児童生徒の社会性の欠如,とりわけ,社会連帯意識や隣人愛の希薄さなどがあげられております。
 このことについては,臨時教育審議会の第一次答申(昭和60年6月)の中でも,「都市化の進展により,遊び場が減少し,隣人関係が希薄となり,地域の連帯感を喪失,弱化させ,その教育力の低下をもたらしている。」と述べております。ところで,望ましい社会連帯感は,望ましい人間関係によって育てられると言われますが,人間関係が希薄化している現状を考えると,これを回復し,連帯感の発揚を図るためには,集団における実践活動を体験させることも,より効果があり,期待されるところでもあります。
 このような教育実践上の課題解決に寄与することを目指し,当教育センターでは,生徒指導に関する研究の一環としてr児童生徒の連帯感に関する研究」を主題に掲げ,望ましい連帯感を育てる指導の実践を中心に研究を進めてまいりました。
 本研究が,児童生徒相互及び教師との間に,信頼と思いやりで結ばれる望ましい人間関係を確立し,好ましい連帯感を育てるための資料として活用されれば幸いであります。本研究を進めるに当たり,各研究協力校の先生方をはじめ,御協力いただいた方がたに心からの謝意を表する次第であります。

    昭和61年3月

福島県教育センター所長   折 笠 常 弘


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