研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -011/106page

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 5) ドリンクビンを熱湯からとり出してゴム栓をはずし,再びメスシリンダーとゴム管をセットしてから2本日のドリンクビンにゴム栓をする。
 6) カップメンの容器に新たに熱湯を入れ,この中に2本目のドリンクビンをひたす。
 7) メスシリンダーの水面が静止したらゴム管を引き出して気体の体積を読み,次に気体の重さを計算する。

膨張した空気の体積        ml アセトンに追い出された空気の体積        ml
室温              ℃ 室温におけるアセトン蒸気の重さ         g/l

(3)実験上の留意点
 1) ドリンクビンは容量が同じであることを前程としているので同一種頬のビンを使用し,2本のビンの条件(特に温度)を同じにする。ジュースビンはその容量がドリンクビンより大きいものを用いる。
 2) アセトンは揮発しやすいので,その秤量は手ばやく行うようにする。
 3) 蒸発したアセトンは室温の空気と置きかえられるので,カップメンの容器に入れた熱量の温度を計る必要はないが少くとも60℃以上あること(アセトンの沸点は56℃)と,ドリンクビンをひたす時の温度は1,2回目とも同じであることが必要である。魔法ビンの湯を用いるとよい。
 4) ゴム管をメスシリンダーの底まで入れるのは空気を連通させて全体の圧力を同じくするためである。また,気体の体積を読む時はゴム管を水そうから出し,ドリンクビン操作の際に水が逆流するを防ぐ。
 5) メスシリンダーをセットする時は,水を満たしたメスシリンダーの口に4/1に切った薬包紙をのせ,指でおさえて倒立させる。

3.まとめ

 気体の密度測定を簡単に行うためには,その気体が普通のてんびんにかかる位の重さを持ち,しかも水に溶けにくい性質を持つものを選ぶ必要がある。その点,空気とブタンガスは最適なものであり気体の捕集容器として1ぞ用のメスシリンダーを用いれば望ましい結果が得られるであろう。
 しかし,一歩進めて,液体から出る蒸気もまた気体であり,それが水に溶け易いものならその気体を空気と置きかえて体積をはかればよいことを生徒に推察させたい。
 アセトンは毒性極めて少なく容易に気化するので扱い易い。ただ,空気などに較べて分子間力が大きいので,その蒸気密度は理論値より10%ほど多めに出るようである。
 大量に製造される飲料用の各種のビンは容積をはかるマスとして用い得る。1リットル用のメスシリンダーは高価であるが飲料用の1リットルビンはたやすく手に入る。1個のメスシリンダーがあれば空きビンの数だけメスシリンダーはでき,精度は少し粗くとも実験の個別化ははかり得ると思われる。


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