研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -019/106page
6.豆電球を用いた「エネルギー変換」の指導
1.はじめに
中学校3年理科に「エネルギー資源の理解や有効な利用と,その資源を大切にする関心・態度の育成の指導事項があるが,その指導上において,次のような問題点が見られる。
(1)教科書では,広範囲に,羅列的に記述してあるだけで,生徒実験もないために,平板な説明授業になりやすく,その概念が身につかない。
(2)恵まれた環境に育った現在の生徒には,石油・石炭資源の有限性の認識や正しい省エネルギーについての認識ははとんど持ち合わせていない。
(3)石油・石炭とともに,風力・太陽・原子エネルギーなどの指導も大切であるが,あまりにも規模が大きく,実生活から離れているため,実感としてとらえにくく,生徒の関心・態度の育成は困難である。
そのため,身近な素材(豆電球・ニクロム線等)を用い,身近な事象としての白熱電球の有効なエネルギー変換の様子と,その変換率を把握させる生徒実験法を開発し,五感を通して体験的にエネルギー資源の有効な活用法について学習させたり,正しい省エネルギー観を理解させるようにし,さらに,その発展事項として,風力・水力・原子力エネルギーについて理解させたい。2.素材の活用と指導法
(1)白熱電球利用の有効エネルギー変換率測定実験
1(丸囲み) 白熱電球である豆電球は光とともに熟も出している。しかし,熱だけ出すニクロム線に比べると,豆電球の出す熱量は小さく,その差は光に変換された電気エネルギーになるはずであり,これをもって,加えた電気エネルギーに対応させれば,エネルギーの変換率を求めることができる。(エネルギー保存の法則から。)◎ 準 備 物(各班ごと)
1電源装置(直流・交流どちらでもよい。1−12V)2.豆電球1個(3.8V−0.5A)
3 ニクロム線(100V−300W用を6cm程度) 4.電流計・電圧計各1個
5 無色透明のガラス製小ビン1個(30ml程度) 6.温度計1個(0−100℃用)
7・メスシリンダー1個(20ml用) 8 ゴム栓1個 9.時 計図−1 準備物と実験装置