研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -022/106page

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7.戸車を用いた「力のつりあいの実験」の指導

1.はじめに

 (1)中学校理科第一分野,単元2「力」の導入部において,バネの一方を止め,100gのおもりをつるしても,バネの両側に100gのおもりをつるしても,バネの伸びは同じであることを知らせ,バネの伸びと力の関係や力のつり合いの関係を考えさせる実験である。
 (2)この実験は,生徒にとっておどろきの大きい,おもしろい実験であり,力の指導の導入として適切なものであるが,各中学校においては,教具の不足から,普通は教師演示実験として簡単にすませている。しかし,教師演示実験のみでは,生徒ほ分かったようで,実際は分かっていないのが現況であり・やはり,生徒が自ら疑問を持ち,実験を企画しながら実践して確かめるようにしないと,本当に理解することはできない。
 (3)力の単元の導入として取りあげるなら,今後多く要求される自主的・主体的な学習の「学び方」を学習させるため・本教材のように,つくりの簡単なものを用い,できるだけ個別化して指導してやりたい。
 (4)そのため,自作バネは本誌73ページのようにつくり,滑車は,金物屋に行けは一個100円はどで売っている「戸車」を用い・これを後述のように加工して,生徒用「力のつりあい実験器」を多数製作し,生徒自身による,主体的・体験的学習を進められるようにしたい。

2.素材の活用と指導法

(1)生徒用「力のつりあいの実験器」のつくり方
 1(丸囲み) 自作バネのつくり方………本誌73ページ参照
 2(丸囲み) 自作滑車のつくり方
 ア 図−1のように,戸車の車台の軸の一方をやすりでこすり(グラインダーでやると能率的である。)くぎなどでたたいて,軸をぬきとり,車の部分だけをとり出す。(アルミ軸の戸車を用いる)
 イ 図−2のように,角材とビス・ナットを用いて,車台を2個つくる。このとき,滑車の両側にワッシャを各2枚入れて,滑車と角材がふれることにより止まることを防止する。
 ウ 図−5・6のように塩ビ板を用いて作るときは,図一3のように,ビス・ナットをしめて,滑車と塩ビ板が接触してしまわないように,両側とも独立して止めるようにする。
図−1 戸車からの車のぬき方
図−1 戸車からの車のぬき方
図−2 滑車の作り方
図−2 滑車の作り方


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