研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -025/106page
(2)指導法
3(丸囲み) 電気抵抗モデル実験器を用いて,電気抵抗の概念を一応理解させた後,太さ・長さの違うニクロム線・鉄線などを用いて実験し,導線による電気抵抗の性質を理解させるようにする。
1(丸囲み) ニクロム線に,電圧を変えて加え,流れる電流を測定し,電流と電圧との関係をグラフ化して,電気抵抗について知った後に本教材「電気抵抗モデル実験器」を用いる。
2(丸囲み) 電気抵抗モデル実験器の使用法
ア 電流と電圧の関係
ア(丸囲み) 電気抵抗モデル実験器の一方をスタンドにかけ,角度を変えながら,鉄球30個の落下する時間を測定する。(図−2参照)
イ(丸囲み) この時,角度が大きい程(電圧の大きい程)落下する時間が短い(電流が大きい)と理解させるとともに,鉄球がくぎに衝突しながら落下する様子を,電気抵抗と理解させるようにする。
イ 導線の太さと電気抵抗
電気抵抗モデル実験器の中に,角材を1つ,2つと入れ,鉄球の落下する通路の間隔を3通りにして鉄球30個の落下時間を測定する。(図−3参照)
ウ 金属による抵抗値のちがい
電気抵抗モデル実験器のくぎを,列ごとに,1行2行とぬいて行き,くぎの数(抵抗値のちがい)による落下時間を調べる。((図−4参照)
4(丸囲み) 電気抵抗モデル実験器を用いた指導における留意点。
ア鉄球の落下時間を測定し,電子計算機で速さを求めながら,とモデル化し考察させるようにする。
速く落下する→電流が小さい
イ 当実験器は,電流は目に見えないからモデル化したものであり,あくまでもモデルとしての成果しか期待できない。従って,教科書等にある,実物による実験は省略しない方が良い。
ウ 鉄球の落下は,理論通り一様に落下するものばかりでなく,一部は,くぎの所に止まったりする。そのため,3回以上実験を行い,その平均値を用いるようにするとよい。3.おわりに
当電気抵抗モデル実験器は教師演示実験としても十分な効果はあると思われる。更に,主体的な学習態度・確実な理解を得るなら,まして,発達段階の十分でない生徒を対象とするなら,この実験器の「やって見て,おもしろい。」点を十分とり入れ,生徒実験として活用していただきたい。そのため,安価で,簡単に作れるようになっている。