研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -027/106page

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(2)使用材料
教科書(A5版) 184×210mm
文庫本(A6版) 105×148mm     または A6版相当の厚い板
(3)使用例
 1(丸囲み) 一定質量の水の温度変化に関する場合(本の大きさは任意で,同じ大きさであればよい)
1(丸囲み) 一定質量の水の温度変化に関する場合 〔例〕100gの水が20℃から50℃に温度が上がったとき移動した熱量は,何calか。
例
 2(丸囲み) 温度の異なる水の混ぜ合わせの場合
(a)教科書と文庫本
2(丸囲み) 温度の異なる水の混ぜ合わせの場合(a)教科書と文庫本
〔例〕50℃の水100gと20℃の水200gをまぜると,何℃の水になるか。
(ア)高さの高い文庫本を取って,A5版の上に高さが等しくなるように重ねる。
(イ)熱は,温度の高い方から低い方への一方通行であることもわかる。
(ウ)将来発展的に,この本の面積が熱容量を示すものであることにも気が付く。
(b)板
2(丸囲み) 温度の異なる水の混ぜ合わせの場合(b)板
〔例〕60℃の水200gと20℃の水100gをまぜると,何℃の水になるか。
A6版相当の板だけで組み合わせても(a)と同じようにできる。その板に,赤,青,黄など3種類に着色したものをそれぞれ数多く用意しておけば演示効果が増すものと思う。またA6版の板は,中学理科の教科書や文庫本と併用でき便利である。
注(a),(b)はいずれも,長さの同じ辺(稜)を水の比熱として合わせること。

3.留意点とまとめ

 この方法を用いると熟慮は温度との違いが視覚的に明確になり,特に,温度の異なる水のまぜ合わせについての理解を助ける手軽な教材として有効であろう。ただ,水の質量が簡単な整数比のまぜ合わせの場合しか演示できない。また,移動する熱量を視覚モデルで確認できるのはよいが,積み上げた本や板の体積は,ある物体が持っている熱量を示すものではないことに留意しながら用いていただきたい。したがって本や板の積み上げる高さは任意でよい。問題は高さの差(温度差)だけである。
 以上の方法は,生徒一人一人が思考しながら容易に行うことができ,単なる知識の記憶に終わらず熱量と温度について正しい概念を理解する一助とすることができる。


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