研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -029/106page
(3)参考資料
次の表は,マブチモーターRE260を用いて実験した結果の一例である。輪ゴムの張り具合いによりデータは異なるので厳密性を欠くが参考にしていただきたい。表中のア〜オはモーターB(丸囲み)の端子への接続を示し,1.0cm 2.5cmはプーリの外径を示している。この2種類のプーリーを用いて4つの組み合わせを作ってデータをとってある。
3.ま と め
中学校学習指導要領の第1分野の内容(b)のエ,電流と仕事の中で,(エ)仕事によって電流を取り出すことができること,という一項がある。もちろん定量的には取り扱えないが,大きな電流をモーターB(丸囲み)から取り出すと,モーターA(丸囲み)の回転が遅くなることから,モーターA(丸囲み)には大きな力がかかって大きい仕事をしようとしているのだという感じを生徒は視覚的につかみ取れるのではあるまいか。
それよりもまず,モーターB(丸囲み)に接続する抵抗の違いでモーターA(丸囲み)の回転の速さが変わることに意外性と疑問が発生するものと思う。中学段階では,その疑問のすべてには答えることはできずオープンエンドとなってしまうが,応用として一般商用交流発電機の回転の速さと消費電力の場合も同じ関係が成り立つという程度まで話として発展させてもよい。
高校に進学する生徒も電磁気に関する学習は物理を選択しない限り学習できない。(理科Tにはない)現状では女子生徒の大部分と男子生徒の半分以上は物理を学ばない。電磁気に囲まれた日常生活の中で,7割以上の生徒にとってはこれが最後の電磁気に関する学習なのである。
したがって,電磁誘導の学習の応用として,また,仕事と電力量との定性的な関係をつかむ補助として,さらには意外性による科学的な疑問を生じさせる手段として,このような実験を演示することは有効であろう。