研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -040/106page
15.ダンボールを用いた「キノコの栽培実験と観察」の指導
1.はじめに
植物の世界」のなかにとりあげられている菌類は,生徒にとっては理解しにくいものの一つであるように思われる。この菌類の一種であるヒラタケは,スーパーなどで栽培シメジと称して四季を通して売られており,最も身近なものの一つである。
このヒラタケはダンボールと米ヌカを用いて栽培できるので,ヒラタケの栽培実験を行うことによって,菌類についての理解を深めることができると思われる。
ヒラタケの栽培実験の方法とその指導法について述べる。2.素材の活用と指導法
(1)実験材料及び器具
・ヒラタケ(栽培シメジとして販売されているもの)
・ダンボール(空箱なんでもよいがあまり汚れていないもの)
・空きビン(容量300mg−500mgの広口のビン,ジャムの空きビンなど)
・ボウルまたは円形の水槽(培地を混ぜ合わせるためのもの)
・米ヌカ(新鮮なもの)
・ラップ
・ピンセット
・アルコールランプ
・蒸し器(ふかしかん,オートクレープなど)
・恒温器(気温20℃以上の時期は不用)
(2)培地の作りかた(3個の培地を作るとき)
ダンボールを1dはどの大きさに切る,これを300gに対して米ヌカ150gを準備する。(図1)切ったダンボールをボウルに入れ,これに水を300mgはど入れ,かきまわして全体を湿らせた後,余分の水を捨てる。
このダンボールに米ヌカをふりかけて混ぜ合わせる。この培地を空きビンに詰める,このとき表面を押し固めて平らにする。
ビンの口の部分1c爪はどあけるようにし,ラップで被う。(図2)ジャムなどのビンのときはその蓋を用いることもできる。
水が多すぎるとダンボールが柔らかくなりすぎ,通気が悪くなり,菌の生長に良くない。
図1 ダンボールと米ヌカ
図2 空きビンに詰めた培地