研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -046/106page
17.オオカナダモを用いた「原形質流動」に関する指導
1.はじめに
中学校で原形質流動の観察には,ムラサキツエクサのおしべの毛やダイコンの葉の毛が観察材料として・よく利用されている。しかし,これらは,観察しにくく,注意深く,顕微鏡の視野の奥ゆきを調節しないとうまく見えないという問題点がある。その点,オオカナダモの葉を用いると,葉緑体が大きく,移動が明確に観察されるので,観察し易い。培養方法も簡単で金魚店や熱帯魚店でアナカリスとして売られているので手軽に手に入る。培養方法や入手法がわからないために,利用できないのが現状だと考える。ここでは,オオカナダモの簡単な培養方法と顕微鏡観察の方法について紹介する。各学校で是非試みてはしいものである。
2.素材の活用と指導法
(1)オオカナダモの培養方法
1) 熱帯魚店や金魚店などに前もって注文し殖やして用いる。
2) 室内培養方法
ア 水槽の底に土や砂を入れ,直接草体を植える イ 植木鉢ごと沈める方法 ・芽さえあれば,小さな切れはし
からどんどんふえる。
ウ 熱帯魚を飼う要領で培養する方法
この方法はもっともよい方法である。グッピーやメダカなど小型の魚を入れてもよい。この方法だと年中,冬場でも,元気のよい草体が得られる。 ※オオカナダモは・寒さには弱いので低温には,気をつける(25℃〜27℃が適温)光は明るい方が良いが・余り明るいと,単細胞性の緑藻が繁殖してしまうときがあるので,カーテンなどで,少し光を和らげるとよい。水は水道で十分である。3) 野外培養法
ア 池・又は・ポリバケツやプラスチック製の衣裳箱などを土にうめて,その中に小さく切った・オオカナダモを植える。芽は,偽輪生芽のつけねの節にあるが,野外でどんどん殖える。冬は寒いところでは,かれるが,春になると芽がまた出てくる。