・ 漂白済を十分に水あらいしないと,ヨウ素溶液でデンプンがよく染まらないので留意する必要がある。
・ 漂白済を使わないで,アルコールで葉緑体をとり去る場合は,光にあてたアオミドロを,前日にアルコールに入れ,一晩置いて,水あらいしてから使用する。
(3)指導法
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1時間の展開の場合は,アオミドロだけを用いて,葉緑体の部分でデンプンが作られることを理解させてもよいが,ここでは緑葉も含めた,2時間取り扱いの展開について考えてみる。
学習課題「光合成によって,葉のどこにデンプンができるか」を理解させる第1段階は,ふ入りの葉を用いて,緑の部分と白い部分での変化をたたき染め法で観察させる。肉眼の段階での確認である。従来は,この段階までで,観察が終わっていたので,葉緑体の部分で,デンプンが作られることが実感としてつかめなかった。
そこで,左図の展開の・ように,脱色しないアオミドロと脱色したアオミドロの変化の違いを観察させれば,葉緑体の部分で光合成が行われることを,生徒にはっきりと理解させることができると考える。
さらに,光をよくあてたアオミドロとあてないアオミドロを観察させれば,光の条件による光合成の違いも理解させることができる。
光合成の理解で生徒はよく葉緑体も光合成の材料であるとする間違いが多い,教師は補説説明や観察指導の中で,葉緑体そのものは,決して,材料ではなく,工場的な役目をするものであることを強調していくべきである。 |
3.まとめ
材料としてのアオミドロは,身近な水田や河川流域の水,池,沼などに見られる。年間を通して水の枯れない場所を確保しておけば,いつでも手軽に入手できる。しかも,顕微鏡下で葉緑体でのデンプン形成の観察が,可能なことは,生徒の光合成理解に非常に役立つ。従来,危険とされていた。アルコールの加熱の必要もなく,家庭用ハイターでも葉緑体の脱色ができる手軽な観察実験である。
葉緑体のもとで,デンプンが作られることを生徒に確実に理解させるためにも,光合成教材に,アオミドロを用いた授業の展開を是非考えてはしいものである。