研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -050/106page

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19.菓子箱を用いた手作りOHP星座板による「日周運動」の指導

1.はじめに

 天体学習の内容を理解させるためには,生徒が星座を観察して得た事実をもとに進めるのが理想であるが,観察の多くは夜間のため家庭学習にゆだねることが多い。しかも,かなりの時間観察が必要であるし,天休のスケールの大きさにもなじまず,十分な観察ができないまますまされていることが多い。ここで何よりも必要なことは,天体観察の難しさを克服できる動機づけや観察・記録の仕方の具体的な指導である。そのための必要な教具等はいろいろ考案されているが,ここでは,できるだけ単純化し生徒に理解させることを容易にしたOHP用星座板を考えた。

2.素材の活用と指導法

 「星の動き」を指導する教具としては星座盤が市販されているが,より身近で手軽に得られる材料を利用して効果のあがる教具を工夫した。事前指導として「学習時期の星空を見せ,観察する星の位置・広がり」などを知らせる学習には,板目表紙(画用紙・菓子箱)を用意し,これに印刷した北天・南天の星座図(図−1)をはりつけ,星の位置をキリ又は釘などで穴をあける。その裏に色セロハンをはりつける。これをOHPで投影するだけで雑然と散らばっているように見える星が,色別の星座の集まりとして学習できる。一方生徒たちの室内製作としても,短時間で簡単に身近な素材で作れるので興味・関心をひくことができる。
「星座は季節によってどう変化するか」「星座をつくる星はどのような天体か‥・…」の学習のときには,さらに発展し,板目表紙にかわり,黒色アクリル板(薄手の下敷)を星座板として使用する。他に,先端を 平面 にした釘,TPフレーム・シート,木材(杉),はとめ鋲を準備する。重要なことは,星の 明るさ によって穴の大きさを変えることである。星座円板の裏には色セロハンを星座ごとに,等級どとにはる。北天・南天の星座図には,月日と時間が記入してあるので,星座円板にしるした月日とTPフレームにはってある地平線を示す印刷紙の時刻を合わせて投影すると,○月○日午後○時の星座はどの方向に位置しているか,星の明るさ,美しさと表面温度の関係も提示できるように工夫してある。(図−2)
図−1 北天・南天星座図
図−1 北天・南天星座図

 学習のまとめとして
 a 南天の夏・冬の星座を投影し,その違いに気づかせる。


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