研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -052/106page
20.透明洋がさを用いた「天体の動き」の指導
1.はじめに
天体領域の学習は・多くの場合,観察は夜間生徒が個人で行い,授業ではその資料をもとにして話し合いが行われる0このため資料が共通理解のできるものでなければ話しがかみ合わない。そこで透明ビニール張り洋がさを天球に見たて,その中心に観測者がいると考えて天体の見かけの動きを,できるだけありのままの姿で観察記録させることをねらいとした。
2.素材の活用と指導法
天体の見たままの姿を立体的・客観的に記録するため図−1,2のように透明洋がさを天球に見たてて「太陽・月・星は1日にどう動くか」を観察記録していくことである。
材料は入手しやすく・しかも安価なので生徒に個別に持たせ各家庭で適当な場所をきめ,個人で観察させる。大切なことは,昼間授業の中で北天の場合ならば,北極星付近に見える北斗七星の特徴や見つけ方を形・傾き・方向・明るさ・高度などについて前もって指導しておくことである。装置を設置するにあたっては,できるだけ全天の見える場所を選ぶ。観察の基準としては,一かさの骨の1本が南北を向き,かさの柄が鉛直になるように固定する。かさの曲面のはぼ中心にあたる柄の部分に,目印として輪ゴムを巻きつけておく。観察しようとする天体を基準点(輪ゴム)を通してねらい,見える位置をかさの曲面上に水性ソフトペンで記録していくことである。昼間の授業でそれを持ち寄って話し合い「天体の形・動き・位置の変化」について推論する。データーが共通な基準であるためうまく話がかみ合い思考が深まるとともに,星の見かけの動きを総合的にとらえられる。