研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -062/106page

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25.園芸用鹿沼土を用いた「鉱物の観察」に関する指導

1.はじめに

 中学校第2分野「地殻とその変動」の単元で「火山灰の観察」をのせている教科書が多い,しかし資料が手に入りにくい。その点,火山灰を観察する方法として,園芸店等で得られる鹿沼土などの利用が考えられる。以下教材としての利用価値について述べる。

2.素材の活用と指導法

 火山灰(鹿沼土)は,園芸店等で,入手しやすく,しかも鉱物を取り出す処理法も簡単である。また,含まれている鉱物も,中学樫で扱う火成岩の造岩鉱物のほとんどを含んでいる。結晶も,岩石中で観察するのと違って,美しい単結晶のまま単独で見られるのが多く,鉱物の識別・特徴をとらえやすい利点がある。
(1)大粒の鹿沼土を3〜4個,ベトリ皿に入れ,水を少し加え,親指でこれをすりつぶす。
(2)これに水を加え,にごり水を流し去る。
(3)ベトリ皿の底に砂(鉱物の粒)が残るまで,同じ操作をくりかえす。
(4)残った鉱物粒を乾燥させる。
(5)ペトリ皿の底にある鉱物粒をそのまま,解剖顕微鏡,実体顕微鏡で観察する。
(6)観察した鉱物について,無色・有色鉱物に分ける。
(7)分ける基準によって,特徴をあげ,分類表をつくる。

解剖顕微鏡を用いた観察
解剖顕微鏡を用いた観察

栃木県鹿沼市付近で古くから園芸培土として採掘されている鹿沼土は,関東ローム層のうちの齢軽石層のものである。はとんどが軽石で占められ,火山ガラスは粘土化している。解剖・実体顛石鏡下で観察できる鉱物として,次のものがある。
  ・苦鉄質鉱物:磁鉄鉱>しそキ石>カクセン石>普通キ石>黒ウンモ
  ・珪長質鉱物:セキセイ>チョウ石
 園芸用鹿沼土を用いただけでも,カンラン石を除いた造岩鉱物の単結晶が観察できる。

3.まとめ

 火山灰中に含まれる鉱物は,セキエイ・チョウ石・ウンモ・カクセン石・キ石・カンラン石・磁鉄鉱が大部分で,これ以外の鉱物はまれである。鉱物の色や形などの特徴を観察する一方,資料を作る過程で,自然科学に大切な「分離・分類」といった科学の方法を学習するのにも役立つ。身近に手に入る鹿沼土は造岩鉱物の観察には良い材料として利用できる。各学校でぜひ試みてはしいものである。


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