III 実 践 的 研 究
1.フィルムケースなどを用いた
「気体発生装置の製作と実験」の指導(実践研究)
1 はじめに
(1)研究趣旨
1) 理科に対する生徒の関心
小学校における理科教育は,生活経験を基とし,低学年のうちから身近な自然現象に目を向けさせて興味・関心を喚起し,そして無理なく理解できるようによく配慮されている。
この段階では,生活を通して学ぶという考え方が生きており,身近にある素材が常に活用されて子どもたちは喜々として学習しているように思われる。
◎小学校時代に,理科の実験に身近にあるいろいろなものを使ったことがあるか。
(中学1年)
中学校では,生徒の知的関心や探求心の高まりに合わせて,理科の内容には抽象化・論理化がはかられ,教材は学習の系統性を重視して配列されるようになる。
この段階になっても理科をとり組みやすい教科であると考え実験を好む者は多いが,反面では理科をむずかしいものと考える生徒も出はじめる。
◎中学校の理科学習をどう思うか
やさしいと思う |
2% |
普通である |
90% |
むずかしいと思う |
8% |
(中学1年)
◎理科の実験は楽しいと思うか
いつも楽しい |
42% |
実験によっては楽しい |
53% |
楽しくない |
5% |
(同上)
これが中学3年生になると次のような結果になる。
◎中学校の理科学習をどう思うか
やさしいと思う |
9% |
普通である |
51% |
むずかしいと思う |
40% |
(中学3年)
すなわち学年の進行とともに理科をむずかしいと考える生徒は着実に増加する傾向にある。
(2)問題点の発掘
上のような結果をもたらす要因について次のようなことが考えられる。
1) 全般的な問題点
(ア)文明がすすむにつれてますます自然にふれる機会が少なくなってきており,自然と一体になった学習の場を設定するのが困難である。
(イ)学習についての系統的・科学的な考え方などの論理体系的な実践研究は精緻になされているが,「生徒が意欲をもって学習にとりくむようにするにはどうすればよいか」というような情意面での配慮が不足している。