研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -070/106page

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2) 5〜6人のグループでの実験では,その班内での役割の固定化がどうしても避けられなかったが,これを2〜3人とした結果,生徒はどうしても行動せざるを得ない状態になり,はじめはかなりのとまどいがみられたが試行錯誤の末どうにかやりとげることができ,器具製作の失敗などに対する自己反省と,2人ででも実験を消化し得たという自信の上に,次の実験を待ち望む気持ちが芽生え成長しつつある。

 フィルムケースをつかった実験をして

 気体の作り方と性質の実験をして酸素の作り方二酸化炭素の作り方,アンモニアの作り方,水素の作り方などがわかりました。
二,三人ずつの班で実験してみたせいでしょうか,なかなか準備がはかどらなくて私の班では酸素を作りおわるとチャイムがなってしまい二酸化炭素は作れませんでした。
この実験のせわ方は,フィルムケースのふたの真ん中にあなを1つあけ,まわりにも5つあけ中に二酸化マンガンとオキシドールを加え水そうの中にくだを入れ出てきた気体を試験管に集めます。この出てきた気体とは酸素です。
ここでチャイムがなってしまい二酸化炭素を作ることはできませんでした。
でもこんどの理科の時間に続きをやるということでおわりました。
あのくだから試験管の中へ気休が入っていくのを見ていると「やった」という気持ちになってきます。
私はあの実験で酸素が試験管いっぱいになるのが一番うれしくたのしかったです。
それから自分で苦労したと思うところは準備をするまでです。とても大変でした。
水そうに水をくんだり,フィルムケースのふたにあなあける機械がなくて外の班に借りに行ったりして実験時間の半分以上が準備時間に使われていました。
でも今までやった実験の中で一番おもしろいと思いました。
これからもこのように楽しい実験がしたいと思います。

−生徒の反省−

(2)考察
1) 実験班の構成に関する生徒の考えは
2〜3人のグループがよい 68%  5〜6人のグループがよい 32%
 であるが,少人数になってもなおかつ製作・実験を成し終えた生徒の得た自信は強烈であり,実験する楽しみをはじめて知った生徒も多く,2〜3人から成る班の編成は,個別化をはかりながらなおかつチームワークをも養うために適切な構成単位であったと思われる。
2) 「こんな簡単な道具を使って教科書にあるような実験ができるのか」といぶかる生徒が,製作と実験の過程を通して困惑から確信へと変容して行くさまは一種の驚きを持って観察された。器具の製作工程を含めたこの教材の取り扱い方は妥当なものであったと考える。

(3)まとめ
 理科の実験を好む生徒が95%にものぼることは,理科の学習は観察・実験をとおして行われるべきであることを裏づけるものであり・このための方法としては,生徒への個別化を行い得るような身近にあって数多く手に入りやすい実験材料の発見や活用,そして実験のくふう・開発をはかる必要がある。しかし,その準備や考案には多大の時間を要するので今後一つ一つ実験項目の蓄積を心がけて行きたいと思う。


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