研究紀要第66号 「中学校理科の学習指導に関する研究」 -071/106page

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2.自作バネを用いた「おもりの重さとバネの伸びの関係」の指導(実践研究)

1.はじめに

 中学校第1学年理科第1分野に「力」の指導教材がある。生徒はこの教材をとおして,力の概念や力の表し方,2力や3力のつり合いなどを学習することになる。しかし,「力」は目に見えないため指導が困難である。そのため,生徒の実態をふまえ,具体的な実験器材の準備に心がけるなどして指導上配慮する必要がある。
(1)生徒は下表のように,物理・化学分野に比して,生物・地学分野を好む。しかし,身近にあっても,見たり触れたりしているものに興味・関心を持っているが,力・電気・化学薬品などいくら身近にあっても興味・関心を示さない。

調査1.あなたは,他教科にくらべて,理科は好きな方ですか。また,その理由を簡単に述べなさい。(・印は主な理由)
好きな方である……52%
・実験が楽しい
・やっていて楽しい

どちらともいえない……48%
・実験がむずかしい
・火を使う実験はきらい嫌いな方…0%

調査2.あなたは,第一分野と第二分野でどちらがきらいですか。また,その理由を簡単に述べなさい。(・印は主な理由)
第一分野がきらい……48%
・動・植物の方が好き
・危険な実験があるから
・2分野の方がかんたん

第二分野がきらい……24%
・解剖がきらい
・実験がなくてつまらない

両方とも好き…14%
・薬品の実験も,動・植物も好き
・実験とか,自然がおもしろい。

図−1 理科に関する生徒の意識調査

(2)生徒の思考力に関する調査結果(図−2)によると,物事を筋道を立てて考えることは十分発達していないし,自ら企画し,実践していく態度もあまりできていない。そのため調査1・2のように,単に「実験が楽しい。」「動・植物が好き。」など,表面的なものだけに興味・関心が集まり,本質的な理科の学習にふれるものは敬遠しがちである。
従って,「力」という,抽象的に定義づけたものなどは,ほとんど興味・関心を示さないし,学習しようという意欲もわかない。

調査3 1)次の計算をしなさい。
計算式 正答 73%

2)50gのビーカーに200gの水を入れ,50gの氷を浮かしたら,下の台バカリは何gを示すか。
300g…18% 250g…68%

図−2  生徒の思考力に関する調査

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